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改善に終わりなし。次世代へ受け継がれる”職人魂”

「THE CALBEE」の立ち上げ当初からずっとご紹介したくて、でもコロナ禍でなかなか実現できずに温めていた企画をようやく皆さんにお届けできることになりました。
 
その名も「職人魂-THE CALBEE」です。
カルビーグループは、国内16拠点(協力工場含む)、海外11拠点に工場を有しています(2022年3月31日時点)。一つひとつの工場には、商品づくりの現場を支えるプロフェッショナルな従業員がいます。「職人魂-THE CALBEE」では、こうした従業員にスポットを当てて、仕事に対する想いや、商品づくりにかける情熱に迫ります。

「職人魂」のロゴ
「職人魂-THE CALBEE」のロゴ
カルビーグループの生産拠点

第1回目は、改善のスペシャリスト、池田 安文さんにお話を伺いました。

池田安文さんのプロフィール写真

池田 安文(いけだ やすふみ)
カルビー株式会社 生産本部 西日本生産部 鹿児島工場 保全課
1976年カルビー入社。広島工場、下妻工場、宇都宮工場、宇都宮第2工場(宇都宮工場と宇都宮第2工場を統合し、現:新宇都宮工場)、滋賀工場(現:湖南工場)を経て、1989年より鹿児島工場へ。
所有資格:機械保全技能士(特級)、第二種電気工事士、水質関係第4種公害防止管理者など
鹿児島県出身。学生時代は剣道に打ち込む。趣味はトレッキング

豊富な知識と経験によって磨き上げられた観察眼

池田さんは入社以来45年間、工場の現場一筋で商品づくりに携わってこられました。複数の工場で経験を積み、1989年からは地元の鹿児島工場で活躍されています。なかでも池田さんは、製造工程で発生するロスを見つけて改善するスペシャリスト。カルビーの工場従業員の間では、知らない人はいないほどの存在です。工場におけるロス・ゼロ達成を目指すプロジェクトのリーダーを務めていた2007年からの約3年間で改善した件数は、1,000件を優に超えたといいます。
「私が入社した頃は、それこそ職人気質の先輩方が多くいらっしゃって、仕事のやり方を一つひとつ丁寧に教えてくれるような時代ではありませんでした。まさに『見て覚えろ』の世界です。毎日、先輩方の背中を見ながら、商品づくりに必要な知識や技術を学んでいました。また、いくつかの工場で経験を積ませてもらったことで、製造工程のどこにロスが潜んでいるのかを見つけ、改善につなげる観察眼が少しずつ鍛えられたかなと思います」

インタビューに答える池田さん
池田さんのノート
仕事に対する信念や日々の学びが記された「池田ノート」

鹿児島工場で工場長を務める久保 進さんに、池田さんはどのような存在なのか伺いました。
「池田さんとは、湖南工場にいた頃からなので30年以上の長いお付き合いになります。池田さんは改善力といいますか、問題解決力にとても長けていらっしゃいますね。自工場だけで解決できないような問題があれば、パートナー会社に積極的にお声がけして、先々のことまで考えながら解決策を見出すなど、技術的なスキルは然ることながら、コミュニケーション能力の高さにいつも感心させられます」

インタビューに答える鹿児島工場 工場長の久保 進さん
鹿児島工場 工場長の久保 進さん

「創業の精神」に通ずる、廃棄物を有価物に転換する取り組み

これまで数多くのロス改善に取り組まれた中で、特に思い入れのある活動について池田さんに聞いてみました。
「20年以上前からの活動になりますが、廃棄物の有効活用ですね。ポテトチップスをつくる上で、じゃがいもの皮が残渣ざんさとして発生します。当時、それらの皮は廃棄していたのですが、特殊な技術で乾燥させることで有価物(価値あるもの)へ転換させたのです。結果として、廃棄ロスの削減にも貢献する取り組みになりました」
 
有価物というのは具体的にどのようなものになるのでしょうか。
「まずは、養豚飼料としての活用から始まりました。他のものにも活かせないかを検討していた2001年頃に、きのこの菌床きんしょう原料の一つとして活用できないかという話が舞い込んできたのです。九州大学や地元の農事組合と、産学官連携で研究を進めたところ、じゃがいもの皮を菌床の原料に加えることで、より品質の良いきのこが栽培できるという結果が得られ、商品化に至りました」

乾燥させたじゃがいもの皮
乾燥させたじゃがいもの皮。養豚飼料やきのこの菌床原料として有効活用されている。

未利用資源の有効活用は、カルビーの「創業の精神」でもあります。廃棄ロスを減らすだけでなく、価値あるものに転換し、活用するという発想は、まさにカルビーらしい取り組みといえますね。
「現在、R&D(研究部門)と一緒に、新たな有価物としての開発も進めています。これからも、じゃがいもが持つ力を新たな価値に変えて、世の中にお届けしていきたいですね」

失敗の積み重ね。その先に、小さな成果がある

ロスを見つけ、改善する。コトバにすると一見、単純なことのように思えますが、そのプロセスにはどのような苦労があるのでしょうか。
「改善活動は最初から上手くいくことはほぼありません。ほとんどが失敗です。何度も失敗を繰り返しながら最適な改善策を探っていくため、時間も労力もかかります」
 
どんなに工夫を凝らしても、満足のいく成果が得られないこともあるといいます。心が折れてしまいそうなときでも改善を進める上で、池田さんはどのようなことを大切にされているのでしょうか。
「大きく2つあります。1つ目は、日々の業務において『基礎を大切にする』ということです。基礎がきちんと身についていないと、ロスに気づけないですし、どうすれば改善できるのかの解決策も見えてきません。スポーツの世界でも、誰も成し遂げられない偉業を達成した選手はみな基礎練習をとても大切にされていますよね。それに通ずるものがあるのではないでしょうか。2つ目は、月並みなコトバかもしれませんが、あきらめない気持ちが大切だと思います。とことんやってみる、何が何でもやってやるという気持ちですね。失敗から得られることもあります。それを次につなげて、積み重ねた先に、小さな成果があると信じてやっています

じゃがいもの品質を確認する池田さん

次世代へ受け継がれる”職人魂”

今年65歳を迎える池田さん。現在はこれからのカルビー工場を背負って立つ若手従業員の育成にも関わっているといいます。最後に、これからの工場を担う従業員の皆さんへのメッセージをお願いできますか。
「カルビー鹿児島工場には、昔からチャレンジ精神に根差した風土があります。私もたくさん挑戦して、数えきれないくらいの失敗をしてきました。だからこそ成長できたと思っています。若手のみんなには失敗を恐れず、果敢にチャレンジしてほしいです。日々の業務で気づいたことがあったら、声をあげて、周りをうまく巻き込んでくれたら嬉しいです。改善に、終わりはありませんから

鹿児島工場で働く従業員の皆さん
鹿児島工場で働く従業員の皆さん
鹿児島工場で働く従業員の皆さん

「職人魂-THE CALBEE」では、商品づくりの現場を支えるプロフェッショナルな工場従業員に迫ります。次回もお楽しみに。

【カルビー鹿児島工場について】
鹿児島中央駅から桜島を眺めながら、車を走らせることおよそ30分。鹿児島ならではの芋焼酎工場などが並ぶ工場地帯の一角に、カルビー鹿児島工場があります。鹿児島工場では、主にポテトチップスを製造しています。(操業開始:1975年)

カルビー鹿児島工場
カルビー鹿児島工場


文・写真:古澤 大輔



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