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じゃがいもづくりを知り尽くそう!カルビーグループ「馬鈴薯研修」 

今年も北海道でのじゃがいも収穫が終了しました(*1)。

北海道の収穫時期にあわせ、カルビーでは毎年8月末から10月中旬頃まで「馬鈴薯研修」という研修を実施します。

遡ること40年余り。カルビーのじゃがいも調達部門が独立し、カルビーポテト株式会社が設立された1980年頃より「馬鈴薯研修」は始まりました。
当初は収穫の繁忙期に人手を集めるような意味合いもあったそうですが、現場を実体験することで得るものが多いと、現在まで脈々と続いている研修です。

今年は新入社員、中途社員・その他参加希望の社員あわせて過去最多の約120名が参加しました。じゃがいもの別名“馬鈴薯(*2)”を冠した研修とは、いったいどんな研修なのでしょうか。

 (*1)カルビーグループの収穫において
(*2)馬鈴薯(ばれいしょ):じゃがいもの別名。行政・生産分野で使われる一般呼称。本記事では「馬鈴薯」と「じゃがいも」を併用して記載しています。



目的は“じゃがいも”を徹底的に知ること。


じゃがいもは身近な野菜ですが、どのように栽培されているか、どこでどれぐらい収穫されているのか、意外に知らないものです。
 
カルビーでは、じゃがいもを使う製品が大きな割合を占め、そのじゃがいも調達は[原料]部分から生産者さんと二人三脚で取り組むことから、農業と密接な関わりがあります。
ですので、どの業務に就いていても“じゃがいもを知る”ことは、カルビーの仕事において根となり幹となる部分です。
「馬鈴薯研修」では、その[原料]部分の理解を目的に一つひとつ実体験していきます。

図はカルビーが「10プロセス」と呼ぶバリューチェーン


ではどのように実体験していくのか、、、本記事をご覧の皆さまも「馬鈴薯研修」に参加した気分でご覧ください!

初めて訪れる圃場ほじょう(畑)、その広大さに驚かされます。広い空を見上げ、土の匂いを感じ、北海道の空気に思わず深呼吸します。


圃場に入ると、じゃがいものうねの高さに驚き、茎が枯れ収穫を待つばかりのじゃがいもが土の中にあることを再認識します。


収穫のための機械の大きさに感嘆の声があがり、収穫機ハーベスターに乗れば、掘り取られていくじゃがいもの量に驚きます。

ハーベスターの上では傷んでいるじゃがいもや異物があれば手早く選別していきます。ハーベスターの運転スピードの理由を知り、高度な運転技術が必要なことに気づきます。


収穫したじゃがいもを入れるコンテナを組み立てる作業。重量があるので集中力と慎重な作業が必要です。


貯蔵庫内の検査や清掃。コンテナの貯蔵庫も圧巻ですが、バラ貯蔵庫は初めて目にするじゃがいもの量です。


選別・検査では、運ばれてきたじゃがいもの中身に傷みがないか、でんぷんの比重はどれぐらいかを調べます。それが製造のどういう工程で影響がでるのか、これまでの業務経験や座学で学んだことにつながります。
また普段スーパーマーケットなどで見かけない加工用じゃがいもやカルビーポテトが開発した品種のじゃがいもに触れます。


じゃがいも専用のピート車でバラ貯蔵される様子も圧巻です。

こうして日々“じゃがいも”ついてに触れていき、様々な知識と経験を蓄積していきます。


北海道の地名を知る、地域の特徴を知る。


「馬鈴薯研修」は、道内にある16支所のうち、十勝平野を有し、一番収穫量のある十勝圏の帯広(川西)おびひろ(かわにし)芽室めむろ更別さらべつ豊頃とよころの4支所、オホーツク海に面するオホーツク圏網走地区にある女満別めまんべつ津別つべつ斜里しゃり小清水こしみず東藻琴ひがしもこと常呂ところの6支所、道北大雪山西側の上川地区にある美瑛びえい剣淵けんぶちの2支所、合計12支所で研修を実施します。

北海道は全国で約8割のじゃがいも収穫量を誇る一大産地ですが、地域によって気候や圃場環境、栽培している主要農作物などが異なります。
 
受け入れする支所の従業員や生産者さんと、仕事だけでない様々なコミュニケーションで、自分のいる地域がどの辺にあり、どんな特徴でどんな馬鈴薯が生産されるのか理解を深めます。
例えば・・・湿気があり干ばつに強い地域、水はけがよく多雨に強い地域、石が多い地域、傾斜面を活用している地域などを知っていくのです。
 
そして北海道の農作物、輪作体系、農業技術用語など農業についても、たくさんのことを教わります。(時には地元の名物料理なども!)


写真は夏のじゃがいも開花時期の風景。同じ道内でも空気感が違います。左から剣淵、小清水、豊頃。


実体験が愛着に、責任感に。


新入社員はこの「馬鈴薯研修」で一連の研修を終え、中途社員・希望参加の社員も自部署に戻ります。

研修時はチームとなり各支所に配置され基本行動を共に一定期間を過ごすためか、社内でも同じ支所で研修を受けたことがわかると、所属部署や年代問わずまるで同窓生のような、そんな会話にもなるようです。

休日に訪れ撮影した斜里支所近くの「天に続く道」

研修に参加した社員の声は、研修レポートや「社内報」を通じ、他の社員にも伝えられます。

「収穫後も毎日天気と倉庫内の馬鈴薯の温度をチェックし空調設定をしています。呼吸する馬鈴薯をより良い状態で保存するための設備だということを学び、馬鈴薯を少しでも無駄にしたくないと思いました」

「ぽろしり、トヨシロ、きたひめ、スノーデン、キタムラサキ、ホッカイコガネ、さやかと6品種も見ることができ、品種ごとの特徴や異なる用途や貯蔵方法など、馬鈴薯の幅広い知識を学ぶことができました」
 
「研修では馬鈴薯の受け入れ、検査やその搬出入、選別作業などを担当。悪天候で手が空く日は都度手伝えることがないか声をかけ合い、利他の精神を学ぶことができました。どの業務においても密なコミュニケーションが重要だと感じました」
 
「馬鈴薯研修を通して、原料の生産にいかにたくさんの方の計り知れない努力が詰まっているかを実感しました。生産者さんの想いが詰まった原料を使わせていただいているという意識を忘れず、これからの製品づくりに携わっていきたいです」


研修を受け入れするカルビーポテト担当者に伺いました。

「このような感想をもらうと研修の趣旨が伝わったようでうれしいですね。馬鈴薯を使う製品が大きな割合を占めているカルビーで、どうやって仕入れをして工場に届くのかというところがわからないと、仕事の幅も広がらないと思います。研修で実体験したように、この量の馬鈴薯を栽培し集めることがどれだけ大変か。研修では生産者の方と接する機会がありますが有意義な時間になっているようですね」

カルビーポテト株式会社 人事総務課課長 本間さん(写真中央)。2021年までは北海道内でも収穫量1、2位を誇る芽室支所でフィールドマン業務に携わった経験から「馬鈴薯研修で多くの気づきを持ち帰ってほしい」と話します。


カルビーグループが総力を挙げて取り組む馬鈴薯事業ですが、近年は気候変動への対応農業就業人口の減少など、たくさんの課題があります。
 
生産者さんの作った“自然の恵み”を継続的にお客様の元にお届けするために、それぞれの仕事において課題に取り組む際、価値観の根幹になってくれるのが、じゃがいもを知り理解を深めることです。
その役割を果たしているひとつがこの「馬鈴薯研修」なのです。


文・写真・画像/伊藤 奈美子
写真/2020年・2023年新入社員馬鈴薯研修レポート、
   『じゃがいもDiary』より転載



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