カルビー商品を安全に届けるため。理想の生産ラインを追求する
“次の時代を担うのはあなた”の意を込め、2023年4月入社の新卒採用に合わせてはじまった連載「NEXT is NOW」。現場で活躍しているさまざまな社歴や職種の人財を紹介しています。
今回は、カルビー商品をつくる工場の生産ライン※の設計などに携わる中光浩太さんです。全国各地の工場で、さまざまな商品の生産ラインを担当。その経験をいかし、現在は広島で、2024年に稼働開始予定の新工場の立ち上げに従事しています。
※生産ラインは、工場内で商品をつくるまでの一連の工程(ポテトチップスであれば、原材料であるじゃがいもの投入から商品の箱詰め・出荷まで)
中光 浩太(なかみつ こうた)
カルビー株式会社
次世代生産プロジェクト 技術開発部 マテハン技術開発課
2013年4月新卒入社。大学院工学研究科機械工学専攻修了。
新宇都宮工場のJagabee製造課を経て2016年に技術本部に異動。北海道工場の「じゃがポックル」生産ライン増設、清原工場の「フルグラ®ビッツ」の生産ライン新設など様々なプロジェクトに従事。2022年4月より次世代生産プロジェクトに配属。現在は、広島新工場の立ち上げに従事している。趣味は、キャンプや釣りなどのアウトドア。
来場者のワクワクを求めた「じゃがポックル」の生産ライン
―仕事について教えてください。
中光:生産ラインを設計し、工場へ設置する仕事をしています。具体的にはマーケティング本部などから「新商品をつくりたい」「既存商品の生産量を増やしたい」との要望を受け、予算を踏まえて生産ラインを構築していきます。工場で働く従業員の方々の意見を取り入れながら、どんなレイアウトなら働きやすいのか、どのような機械を導入すれば良いのかを検討しています。工場へ設置工事後は、問題なく商品が生産できるか立ち合い、不具合があれば改善をしていきます。
―具体的にはどのような生産ラインに携わってきたのでしょうか。
中光:いろいろなプロジェクトに関わってきました。下妻工場(茨城県)で「Jagabee」のパッケージの包装ラインを改修したり、清原工場(栃木県)の「フルグラ®」の生産ラインを移設したりするなど、工場の場所や商品、工程も違います。1つのプロジェクトは、設計、施工業者への発注、設置、生産開始まで規模にもよりますが1年くらいかかります。担当者数も規模によって異なりますし、複数のプロジェクトが同時進行する場合もあります。
図面上で生産ラインのレイアウトを考える必要があるため、頭の中でどれだけ緻密に現場をイメージできるかが大切ですね。私自身、もともと生産ラインで働いていたので、そのころを思い出し、働く立場になって考えるようにしています。現場はとにかく時間に追われているので、安全で効率的に働ける動線を確保する必要があります。
―経験がいきていますね。印象に残っているプロジェクトはありますか。
中光:全部印象に残っていますが、チャレンジという点では北海道工場の「じゃがポックル」の生産ライン増設です。「じゃがポックル」の生産ラインには、味付けした生地をロボットが受け取り、ベルトコンベアにのせる工程があります。増設の際、この工程を見学ルート上に設定し、見学者が窓越しでロボットの様子を楽しめるレイアウトにしてほしいとの要望がありました。
この計画でレイアウトを考えていたとき「見せるだけではなく、もっと見学者を楽しませたい」と考えました。そこで、ロボットが味付けしたばかりの「じゃがポックル」をお客様へ渡す仕組みを提案したところ、採用してもらいました。壁に穴をあけ、受け取り口をつくり、ロボットの通常生産時の動きと受け取り口へ向かう動きが成り立つようにレイアウトを設計。私は途中で別のプロジェクトに移りましたが、最終的に先輩社員が完成させてくれました。まさか実現できると思っていなかったので、その時はすごく嬉しかったですね。ほかのプロジェクトもそうですが、自分が担当する仕事には遊び心を加えるように心がけています。働いている自分が楽しくないと、快適な環境づくりはできないと思います。
北海道工場の工場見学ルート
先端技術を駆使し、工場で働く従業員の負担を減らす
―生産ラインを設計する仕事の魅力はなんでしょうか。
中光:設計から工事、生産開始までの幅広い業務を最初から最後まで任せてもらえるのが魅力です。若手・ベテラン関係なく、大きな裁量をもって仕事ができます。
生産技術の仕事を開始して3年目ぐらいのときに、自立するスタンドパック型「Jagabee」の生産ラインを新設しました。当時は、スタンドパック型の商品にチャックが付くようになり既存の機械ではうまく箱詰めができず、新しい機械が必要でした。これまでに取り扱ったことのない機械なので、社内に知見を持っている方が少なく、選定に苦労しました。
いままでの機械の問題点を考え、機械メーカー数社に話を聞いた結果、長期的なメリットや汎用性を踏まえ、これまで取引実績がなかったメーカーの機械に決めました。結果、その機械はもう一台、ほかの工場でも導入されることになりました。
非常に高額な機械で「私の提案でよいのか」とプレッシャーもありましたが、その分責任をもって動くことができました。
―仕事をしていて一番嬉しい瞬間はいつでしょうか。
中光:カルビー商品を購入しているお客様を見たときですね。私たちの仕事は、お客様と直接関わることはありませんが、自分がつくった生産ラインで製造されたお菓子が、無事に届いているのを見ると本当に嬉しいです。
あとは、生産ラインが完成した後に、そこで働く現場の方々に「良いラインだ」と言われると励みになります。「現場の意見を反映できたかな」と、ほっとしますね。
―今後の目標はなんでしょうか。
中光:いまは広島の新工場の立ち上げに携わっていて、この成功が当面の目標です。新工場は、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの先端テクノロジーの導入を計画しています。工場では、重労働の仕事がたくさんあります。だからこそ、テクノロジーを駆使して、従業員の負担を減らし、働きやすい環境をつくっていきたいんです。
モチベーションの源を探してカルビーへ
―中光さんは機械工学の専攻です。食品メーカーへの就職は珍しいのではないでしょうか。
中光:まわりは自動車など機械メーカーを志望する学生が多かったです。私は就職活動のときに、自分が何をしたいのか、何をすればモチベーションがあがるのかを考えて、お菓子にたどり着きました。きっかけはコンビニエンスストアでのアルバイトです。多くの商品がある中で、老若男女問わず、誰でも買えて、笑顔につながるポジティブな商品がお菓子だったんです。こういう商品に携われたらワクワクしながら仕事ができる、という想いでカルビーに決めました。
―仕事内容としては生産技術を希望していたのでしょうか
中光:そうです。面接でも、生産ラインの設計がしたいと伝えました。もちろんやってみないと自分に合っているか分からないので、カルビーが入社後のキャリアに柔軟性があることは大きかったです。実際に工場で働きながら、「やはり生産ラインの設計がしたい」と希望しました。配管や電気、施工業者などいろいろなプロを巻き込み、1つのことを作り上げていく仕事に魅了されました。この想いはいまも変わりません。
―最後に就職活動中の学生にメッセージをお願いします
中光:就職活動は自分を知ることだと思います。私は最初、何をやりたいのか分かりませんでしたが、そこに多くの時間を使って突き詰めることで就職活動の軸を決めることができました。過去までさかのぼり自問自答した経験は、自信になるはずです。
カルビーはいま変革のフェーズです。私の部署でもAIの活用など新しい挑戦を続けています。大きな仕事を任されて、主体的にチャレンジしたい方と一緒に仕事ができるのを楽しみにしています。
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