日本・中国での経験を活かす経理のスペシャリスト
“次の時代を担うのはあなた”の意を込め、採用に向けて不定期連載している「NEXT is NOW」。現場で活躍しているさまざまな社歴や職種の人財を紹介しています。
今回は、本社で経理を担当されている馬楠さんです。入社以来ずっと経理畑を歩み続け、中国でも財務責任者として赴任された経験のある馬さんに、仕事の魅力や、海外勤務について話を聞きました。
正しい数値を正しく伝える。背景の要因を探ることが大事。
―まずは、現在の仕事内容について教えてください。
馬:私は現在、経理部 連結経理課に所属しています。カルビーグループには国内・海外に21の子会社(24年12月時点)があり、各社の財務数値を集計し、カルビー単体の数字も合わせてグループ全体で一つの財務諸表を作成・開示するのが主な仕事です。月次では実績ベースの数値を経営陣に報告し、四半期ごとには決算短信、年間では有価証券報告書や統合報告書の作成にも関わっています。
財務諸表の数値は、ビジネスの実態を表しています。数値の変動を見るだけでなく、その要因を探ることが重要です。例えば、ある子会社の売上が急激に落ちた場合、単に数字が悪化したと報告するのではなく、なぜそのような結果になったのか、数字の背景を分析します。それが一時的な現象なのか、継続的な現象なのかを確認し、継続的な現象であればリカバリーしないと計画の達成が難しい等提言し、計画を立てる部署である財務企画部と連携して進めています。ベースとなる数字とその背景を提示するのが経理部の仕事です。
連結決算を行うに当たって、1人で22社全てを見るのは難しいので、地域ごと(中華圏、米国・インドネシア、英国・オセアニア)に担当を分けて取り組んでいます。
その他、会計監査のサポートや、経営陣と監査法人とのディスカッションの場を調整するなどの業務も行っています。
―経営陣とも直接関わりがあるのですね。
馬:そうですね。私たちの報告が経営判断のベースになっているという自負もあります。正しい数値を正しく伝えることを大事にしています。
―海外子会社の人たちとはどのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか。
馬:担当地域ごとに、日々メールや電話等で連絡を取り合っています。それだけでなく、例えば会計基準が変わる際には、その対応のために現地へサポートに行ったり、逆に日本へ研修に来ることもあります。あとは、監査法人による海外子会社の監査に同行してサポートすることもあります。
幅広い経験を積んだ中国赴任時代。
―海外出張もあるんですね。馬さんは中国赴任のご経験もあるとお聞きしました。当時のことについて教えてください。
馬:中国にあるカルビー (杭州) 食品有限公司の財務責任者として、財務のみならず、人事、物流、営業やシステムの設計など、非常に幅広い業務に約3年携わりました。
まず最初に行ったのはレポートの削減でした。当時カルビー本社の各部署から財務関連の様々な報告書が要求されていたのですが、私が見たところ30種類以上あり、現場の作業時間を圧迫していました。そこで、本社に確認を取りながら本当に必要なレポートは何かを精査して削減し、代用できる資料があれば既存資料で対応し、最終的には作成する数を半分以下まで減らすことができました。
また、現地の祝日・休日に合わせて仕事ができるように本社と調整することで、現地スタッフの残業時間を削減することもできました。内部統制のプロセスの整備や規程の整備等、本社の書式や規程を活用して見直しを進めました。
―すごく色々な経験を積まれてきたんですね。現地の業務を担当する中で、特に苦労した点はありましたか。
馬:現地スタッフとのコミュニケーションには苦労しました。例えば、ある業務プロセスについて「こうやってください」と指示するだけでは、動いてくれません。なぜそのプロセスが必要なのか、今までやらなかった理由は何か、といった点を丁寧に説明する必要があります。一つひとつの事柄について「それは違うのでは」、「もっとこうした方が良いのでは」等、ディスカッションを重ねながら進めていきました。
―現地での経験を経て、日本に戻ってきてからの業務に活かせていることはありますか。
馬:中国赴任前は、現地の状況がつかみきれず、数字の背景を読み解くのに苦労していました。中国で財務や経理以外の様々な業務を経験したことで、子会社の経費の数字を見ただけでも、その背景にあるストーリーが理解できるようになりました。それは、自分自身が設計や導入の段階から関わった経験があるからこそだと思います。ただ、海外の状況は変化が激しいので、常にアップデートが必要だと感じています。
―現地に行ったことが、今に活きているんですね。海外で働きたいという方も多いと思うのですが、新入社員のみなさんへアドバイスをお願いします。
馬:私は1999年に中国から日本へ留学し、2007年にカルビーへ入社しました。私のような留学生の場合、母国語があるというのは強みの一つだと思います。ただ、それだけで何かができるわけではありません。例えば、中国語ができるからといって中国に行けば、現地の人と同じスキルしか持っていないことになります。だから、言葉以外の部分で、自分の専門性を高めることが大切だと考えています。新入社員のみなさんには、それぞれの専門分野で着実に経験を積んでいってほしいですね。
経理の魅力とは。
―最後に、馬さんから見た経理の魅力、面白さについて教えてください。
馬:経理の仕事は、答えが一つしかないというのが長所だと感じています。もちろん答えにたどり着くまでは試行錯誤が必要ですが、最終的に回答が出ると達成感を感じます。
また、統合報告書や有価証券報告書のように、自分の成果物が社会に出るところが面白いと思います。子どもにも「ここはパパが作ったんだよ」と見せたりしています。
自分の報告が経営判断の元になっているというところも経理の魅力であり、だからこそ正確性・確実性を大事に今後も仕事に取り組んでいきたいと思います。
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文:増田 亮子
写真:町田 有希