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お客様と直接コミュニケーションすることに意義がある。アンテナショップ「カルビープラス」10年の歩み

カルビープラスは、直接お客様とコミュニケーションをとり、カルビーファンをつくることを目的として2011年12月7日に原宿店(2021年2月閉店)がオープンしました。揚げたてのポテトチップスやポテトスナックの提供をはじめ、地域・ショップ限定商品の販売をしています。

そんなカルビープラスは、今年で立ち上げから10周年を迎えました。そこで10周年の節目に合わせ、専任担当としてカルビープラスを立ち上げた河合高志さんにお話をうかがいました。カルビーとして初めてのチャレンジだったアンテナショップ事業立ち上げの経緯や事業に込める思い、コロナ禍での新しい試み、次の10年に向けた意気込みなどをお届けします。

河合さん4(調整済み)

河合 高志(かわい たかし)
セールス&マーケティングカンパニー ダイレクトカスタマーマーケティング事業部 企画・運営部 店舗運営課 課長
2000年入社。物流、営業を経て2011~2017年はアンテナショッププロジェクトに従事。2018~2020年営業、2021年4月から現職。

「揚げたてのポテトチップスをお客様に」という社員の思い

-カルビープラスはどのような経緯で立ち上がったのでしょうか?

河合:もともとは2009年に、カルビー社員から新規事業のアイデアを募ったところ、アンテナショップをやりたいとのアイデアが複数の社員から寄せられたことがきっかけです。
検討の結果、「揚げたてのポテトチップスを店内で提供したら面白いんじゃないか」という案が生まれました。揚げたてのおいしさをお客様に知っていただきつつ、カルビーの取り組みや事業を伝えていく場所としてアンテナショップを展開できれば、という趣旨です。

同じ2010年の秋、地域限定の商品やグッズなど普段は手に入りにくい商品を集めたイベントショップを東京駅で開催しました。このイベントは非常に盛況で、お客様が売り場に入りきらないほどでした。

このイベントの成功を受け、アンテナショップの事業を具体的に進めることになりました。社内で行われたアンテナショップ事業の公募に私が応募して、専任担当として事業を担うことになったんです。

2011年には私を含めた5人体制で活動を始め、地方自治体のアンテナショップ巡りや他菓子メーカーのショップの調査、ヒアリングを行いました。また、卸店様のご協力のもと、卸店様が運営されている店舗にスタッフを派遣し、小売業のノウハウも学ばせていただきました。2011年12月7日にカルビープラス1号店として原宿店がオープンし、その1週間後に2号店として北海道で新千歳空港店がオープンしています。

新千歳空港店

カルビープラス 新千歳空港店

―アンテナショップを開設した狙いについて、詳しく聞かせてください。

河合:揚げたてのポテトチップスのおいしさやカルビーの良さをお客様に直接お伝えし、たくさんのカルビーファンをつくることが一番の目的です

社外の誰かにお願いしてやるのではなく、カルビーの社員が自らやることが大事だと考えていました。当初集まった5人のメンバーは、それまでのキャリアはバラバラです。私は営業でしたし、商品企画をやっていた人もいました。いろいろな部署から集まったメンバーが、カルビープラス開店までのプロセスをすべて自分たちで、気持ちを込めて考えて実行していくことにこだわりがありました。外部へ委託したら、我々の思いはお客様に伝わらないだろうと思ったからです

また、お客様の目の前で実際に調理することで、カルビーが食の安全安心についていかにこだわっているかをお伝えする狙いもありました。当時は食の安全が叫ばれた時代でした。工場見学などでも商品の製造工程はご覧になっていただけますが、それでも見学できない工程はあります。

カルビープラスではガラス越しに、ほぼすべての調理過程をお客様にオープンにしています。「目の前にあるじゃがいもが数分後にはポテトチップスになりますよ」とお見せすることで、カルビーが食の安全安心に気を遣っていることを姿勢として示したかったんです。

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1号店は連日の大盛況!お客様にカルビーの魅力を直接、そして自由に伝えられる場に

―1号店オープン後、お客様からはどのような反響があったのでしょう。

河合:原宿店がオープンして、最初の1時間はほとんどお客様はいなかったのですが(笑)、オープン3時間後には超満員になっていました。原宿の街にいた若い世代が口コミなどで広めてくれたようです。連日の大盛況が伝わったのか、メディアからの取材も相次ぎました。

連日の大盛況で、「お店に入れない」というクレームをいただくほどでした。前年に東京駅で開催したイベントがよみがえったような、人生で経験したことのない熱狂的な日々でしたね。レジを担当していたアルバイトスタッフは、お客様に「いらっしゃいませ」と「ありがとうございます」を言い続けて、声がかれてしまった人もいました。それほどお客様が途切れない状態だったんです。

―大変な忙しさだったんですね! しかし同時に、カルビープラスがそれだけお客様から求められていた証でもありますね。

河合:そうだと思います。その意味では、大変なことは多かったものの、あまりの反響の大きさにやめられない中毒性も感じました(笑)。

河合さん1


―カルビープラス立ち上げから今年で10年。事業を展開していくなかで、嬉しかったことがあれば教えていただけますか。

河合:2021年の現在、カルビープラスがたくさんの出店オファーをいただけていることです。新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が解除されたいま、「一緒にやりましょう」とのお声がけを本当にたくさんいただいています。カルビープラスのこの10年の歩みを皆さんがどこかで覚えてくださっていてお声がけをいただくこと。これは嬉しい以外の何物でもないです。

カルビーのアンテナショップなので、カルビープラスにご来店いただくお客様は基本的にカルビーファンの方が多いんです。ですからカルビープラスでは、接客を通じて「カルビーはこんな取り組みもしています」というカルビーの良さを直接お客様にお伝えできます。もちろん自社ホームページなどで広報活動もしていますが、カルビープラスではさらに自由にカルビーの魅力を表現できます。そうした場があるのは嬉しいですし、カルビーとしての強みでもあるのかなと感じています。

コロナ下で始まったキッチンカー事業。「お客様に会いに行きます」を形に

―飲食店が苦戦を強いられたコロナ下では、新しい取り組みも始めたとうかがっています。

河合:カルビープラスとして、新たにキッチンカーを始めました。社内で新規事業のアイデアを募ったときに、キッチンカーという言葉自体は以前から出ていたと記憶しています。ただ、実現には至っていなかった。それが昨年、コロナ禍でお客様にご来店いただくのが難しい状況になり、「待ちの姿勢だとお客様には来ていただけない」事態になりました。

そこで、2021年のテーマ「会いに行きます。」を策定し、カルビープラスらしいワクワクを届けようと具体的な形にした1つが、キッチンカーである「ポテりこカー」です。まさに今のタイミングでやるしかないなと。2021年の8月、三井ショッピングパークららぽーと横浜「セントラルガーデン」に出店してキッチンカー事業がスタートしました。まずはテストとして始めてみましょう、という感じでした。

ポテりこカー2

ポテりこカー

―どのような反響があったのでしょう。

河合:夏休みということで、お子様連れのご利用も多く、ららぽーとのイベント会場でカルビーフェスティバルが行われたかのような盛況ぶりでした。手応えはかなり感じています。最近では三井ショッピングパークららぽーと船橋にも出店したのですが、こちらも地元の中高生が毎日のように買いに来てくれました。

実は「ポテりこカー」がご好評いただいている要因の1つも、カルビープラスを10年続けてきたからこそなんです。10年前に原宿店に通ってくれていた当時の若者世代のお客様が、親世代になってお子さんと一緒にご来店されたりします。「当時通っていました」などのお話をいただくと、やはり嬉しいですね。「10年続けるとこんなことが起きるんだ」と驚いています。

―10周年の価値を日々受け止めておられるんですね。

河合:そうですね。10年という時間はひとつの節目でもありますし、私個人にとっても特別な10年でした。人事異動でカルビープラスから離れていた時期もあるのですが、離れたことで客観的にカルビープラスを捉えることができ、さらなる可能性も見えてきました。この10周年のタイミングで再びカルビープラスの担当になり、とてもワクワクしています。

10年続けてきた結果、かつてカルビープラスの店舗で働いていたアルバイトスタッフが、何人か社員として入社しています。今後はそういった人たちにカルビープラスを引き継いでいきたいですし、私の想像を超えるアイデアをどんどん出してほしいです

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―カルビーの事業全体のなかで、カルビープラスが果たしてきた役割はなんでしょうか。

河合:一番はお客様との接点です。ダイレクトにお客様と接し、カルビーの良さを表現できる場があるという点は非常に大きいです。我々が取り組んでいる姿勢をお客様に見ていただくのが、この事業のミッションだと考えています。

―カルビープラスを利用されてきたお客様への思いを聞かせていただけますか。

河合:単刀直入に言うと、「ご来店いただきありがとうございます」です。ご来店いただくことは、実は簡単なことではありません。コロナ禍で改めて実感しましたが、カルビープラスを選んでご来店いただけることには本当に感謝しないといけないなと思っています。「ご来店いただいて当たり前」ではないなと。ほかにも行き先の選択肢がいろいろあるなかで、カルビープラスを選んで来店いただいているわけですから。

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カルビープラスは時代や環境に応じて変化していい。最後に残るのはお客様との接点

―10周年を迎えたカルビープラス。今後どうしていきたいか、これから先の10年の展望について聞かせてください。

河合:表現が難しいのですが、カルビープラスがいつまでも人気者であり続けることが大事だと思っています。カルビープラスに関わる社内のメンバーは、カルビープラスが人気者であり続けるために工夫や労力をかけ続ける努力をしないといけないなと。花に水をあげ続けることと同じです。

「カルビープラスはこうでないといけない」という決めつけなどはありません。時代に応じて変わっていっていいと考えています。

周囲の環境の変化によって変わることもあり得るでしょうし、コロナ禍では環境ごと変えられてしまいました。コロナ禍によって、我々がインバウンド需要にいかに支えられていたかを実感しましたが、それに執着していたらキッチンカーのような新たな取り組みは生まれなかったでしょう。

ポテりこカー&子ども

もう1つ、カルビーグループで働く方々へのメッセージとしては、「自分たちが作ったものや考えたことを、カルビープラスを通じてもっと表現してもらいたい」ということです。カルビープラスでお客様にご好評いただければ、「自分が作ったものは良い商品だ」と自信が持てるはずです。

カルビープラスで一般流通品をあまり扱わず限定商品を中心に販売している理由として、「お客様に非日常を味わっていただきたい」というものがあります。スーパーやコンビニなどマスの市場でヒットしない、いわゆるニッチな層を狙った商品でも、カルビープラスでならお客様の需要があるかもしれません。

店頭に立ちお客様と直に接することを壁と感じる社員も多いようですが、お客様に「これは自分が手がけた商品です」とお伝えしてみるだけでも、とても学びがあると思います。社員が接客に感じるハードルをなくすことができればいいなと考えています。

カルビープラスとして最後に残る重要なことは、お客様と直に接することです。お客様との接点をつくることがカルビープラス設立のコンセプトなので、その点はこれからも重視していかなければいけないと思っています。

河合さん3

■「カルビープラス」についての詳しい情報は、カルビーウェブサイトをご確認ください。https://www.calbee.co.jp/calbeestore/


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