カルビーの品質保証は、お客様ファースト
この約1年半、私たちカルビーグループでも、新型コロナウイルス感染症に立ち向かっています。
コロナ禍にあっても、お客様のニーズにお応えするために、製造工場はもちろん、商品開発部門や配送部門も、それぞれの業務やサービスを継続して質の向上を目指しています。
ライフラインをつなぐ食品企業として「安全・安心」「品質」「安定供給」において、私たちが果たす責任の重みが増してきていると感じています。
その土台となる品質保証。日々のさまざまな業務プロセスにおける「安全・安心」を担保しています。
今回は、品質を保証するということ。その幅広い業務の全体像や、最近特に重要になってきているアレルゲン表示方法などを、品質保証本部 本部長である中野真衣さんにお話をうかがいました。
中野 真衣(なかの まさえ)
カルビー株式会社 執行役員 品質保証本部 本部長
1993年入社。南関東支店にて営業、研究開発部門にてポテトチップスの開発などを経て、2010年より本社品質保証部門。2016年より現職。
品質保証本部は、A・A・O活動の事務局の役割も果たしています。
品質保証方針
品質保証方針
顧客の立場に立った品質づくりを推進し、顧客の信頼と満足を得られる
「安全・安心」「安価」で「おいしい」商品の継続的な提供の実現を目指す
カルビーの「品質保証方針」は、冒頭に「お客様ファースト」を掲げています。業務プロセスでわずかな誤差が発生した時に、「やり直したら間に合わない」とか「手間やコストがかなりかかってしまう」と躊躇することがあり得ます。そんなときに迷いを打ち消して、お客様にとって最善の判断を、自信を持って行うための方針です。
品質保証本部の業務
―カルビー本社の品質保証本部の業務とは、どのようなことを行っているのでしょうか?
中野:品質保証本部の業務は、大きく分けて①審査、②監査、③検査の3つになります。
1つめの審査とは、新製品の発売前にその商品が安全かどうかのチェックです。パッケージの誤表記やまぎらわしい表現がないかなどのチェックも、審査になります。もちろん「おいしさ」もかなり気にしています。(笑)
パッケージ版下に誤表記がないか、チェック中の中野さん
2つめの監査とは、自社の工場や原材料メーカーの現場に立ち入って、現場現物を確認し、データや作業方法を実際に見せてもらうことです。それら現場の食品衛生の維持・改善活動の支援を行う業務も含まれます。
製造現場における原料じゃがいものスライス厚検査
3つめの検査とは、決めたことが、出来ているかどうか、期待通りの効果が出ているかどうか、誰が行っても同じ結果になるかどうか、確認する業務のことです。
工場内の品質管理室における製品塩分濃度の測定
品質保証本部の役割
―そのような業務を果たしていくために、品質保証本部の社内における役割は、どのようなことだと考えていますか?
中野:品質保証本部の役割は、常にお客様の立場に立ってチェックすることだと思っています。
商品に問題がないことを、すみずみまで確認することはもちろんですが、確認する際に現場とコミュニケーションを持つ機会を大切にしています。そのような機会には、たとえばお客様相談室に寄せられたご指摘を反映させるために製造工場に要望を出すことも多いです。また、原料メーカーに立ち入った際には、製造工場からの要望を橋渡しする役割も担っています。
―そのように製造現場や原材料メーカーに、直接モノ申していく際のポイントは何でしょうか?
中野:現場の担当者も「これで良し」と思って仕事を行った結果をチェックされているわけですから、相手に納得してもらえるような知識~たとえばお客様からいただいた数々のお声や、他社の事例、法令など~をたくさん持ち合わせていることが大切です。
そしてもちろん、こちらの言うことに耳を傾けてもらえるような雰囲気づくりや、コミュニケーション能力も大変重要です。
製造現場における製品の包装状態の検査
アレルゲン表示方法
―パッケージ裏面に表示するアレルゲンの表示方法においては、どのようにして「安全・安心」を実現しようとしていますか?
中野:カルビーの商品パッケージには、アレルゲン28品目に関して、その製品に使用されている場合には必ず裏面に表示しています。
アレルゲン28品目とは、特定原材料※7品目と、表示が推奨されている※21品目のことです。
※7品目:乳・卵・そば・小麦・落花生・えび・かに
※21品目:アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、豚肉、鶏肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、バナナ、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
アレルゲンが表記されているパッケージ裏面の例
ここまで表示すれば大丈夫だろうと思っていましたが、お客様からご指摘をいただきました。
これらの「アレルゲン品目が商品に入っていない場合、『入っていない』と表記して欲しい。」とのお声をいただいたのです。
そこで2020年の5月から、28品目の特定原料が入っていない場合、「該当なし」との表示を、裏面のアレルゲン品目を記載する欄に入れることにしました。
「入っていないこと」の明記は、カルビーが最初ではありませんが、最近では同様に表示する食品メーカーも増えてきました。お客様にとってもっと親切な表示方法はないか、これからもこだわっていきたいと思っています。
アレルゲン表記に「該当なし」と記載されているパッケージ裏面の例
海外のグループ会社における工場監査
―海外のグループ会社における工場監査のご苦労はいかがですか?
中野:2020年度は、コロナ禍のため現場に行けず、定期的な工場監査をリモートで行うことも多くありました。そのような時には、カメラマンが移動中は画面の隅々までグルグルと目を見張らせて、気になる箇所があれば、そこを拡大して映してもらって見つめ続けます。3時間くらいパソコンの画面をグッと凝視し続けるわけですから、まず目が疲れますね(笑)。相当な集中力が必要です。
海外の工場の場合、言葉の違いに加えて、文化の違いで苦労することもあります。作業着は汚れていなくても毎日洗うこと。暑い現場でも作業着の袖はまくり上げないこと。商品の色合いや食感にバラツキがあってはならないこと・・・など、日本のカルビーの品質基準に合わせて、「なぜそうしなければならないのか」を、ご理解してもらうことが、大変な時もあります。
リモートで工場監査を行っている様子
A・A・O活動概要
―全社員がこの秋に取り組む「A・A・O活動」についても教えてください。
中野:カルビーでは、毎年秋に「安全・安心」「おいしい」の大切さを全社員で再確認するために、2014年よりA・A・O(エイエイオー)活動という品質向上活動を展開しています。A・A・O活動は、自身の安全・安心につながり、仕事のやりがいも高めて、結果として、美味しさの提供にも通じ、お客様の満足にも結びつくと考えています。このことが会社の成長にもつながるので、この「循環」を全社一丸となって目指したいと思います。
そして、「この循環が正しくはたらいているか?」 を確認するためには、お客様のご指摘やご相談の真摯な傾聴がとても大切だと考えています。お客様の立場で「安全・安心」を追求してはじめて、カルビーならではの価値、「おいしさ」をお返しできるはずです。
「安全」「安心」「おいしさ」の頭文字をとって、エイエイオー活動
A・A・O 活動を通して、現場作業が主の社員は、日々行っている自分の業務を「何のために」と自問して、業務の意味や課題を根本的に深く考え、自身の作業の安全・安心の確保、仕事のやりがいを改めて考えます。
また、デスクワークが主の社員は、この活動期間に、実際にお客様から寄せられたご指摘やご相談を聴く機会を持ちます。生のお声を傾聴することで、全ての業務のベースとなる「安全」を見極め、お客様の立場になって「安心」の原点に立ち返ります。そして、カルビーならではの価値である「おいしさ」をお返しできることの大切さ体感します。
お客様からの声を傾聴するカルビーの伊藤社長
今後の抱負
―これからの抱負を教えてください。
中野:お客様のお声に耳を傾けていると、カルビーの商品は本当にお客様に愛されていて、我々はお客様に支えられているんだなぁ、と感じることがよくあります。愛してくださってありがとう!と、この場をお借りして申し上げたいですし、そのご期待を裏切らないようにしなければならないと思っています。
今後も、カルビーの商品を、「安全・安心」はもちろんのこと、可能な限り「安価」で、「おいしく」を、今後もずっとお届けしたいです。
―本日は、ありがとうございました。