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“さつまいもの新しい価値を育む”「ポテトかいつか」 ~持続的な産地の確立とお客さま目線にこだわるさつまいものプロフェッショナル集団~

スイーツのような濃厚な甘さで、ねっとりとした食感の焼き芋、噛むほどにジワッと自然な甘さが感じられる素材そのままのスナック、焼き芋の香り豊かなクリームたっぷりのロールケーキ…これらの多様なさつまいも商品を展開しているのがカルビーグループの株式会社ポテトかいつか(以下、ポテトかいつか)。青果用のさつまいも生産量が全国1位の茨城県において、農業生産者からさつまいもを仕入れ、貯蔵・洗浄・加工を行い、全国の量販店や食品メーカー、消費者へ販売するさつまいも専門の食品会社です。

プロフェッショナル集団としてさつまいものリーディングカンパニーを目指し、さつまいもの新しい価値創造に挑戦し続けるポテトかいつかの取り組みについて、貝塚みゆき社長にお話を聴きました。

【原稿使用写真】IMG_3730

貝塚 みゆき(かいつか みゆき)
株式会社ポテトかいつか 代表取締役社長
2006年 株式会社ポテトかいつか入社。2008年より直販事業を手掛けるエポックぽてと株式会社の社長を経て、2017年 ポテトかいつかの社長に就任。

創業55年、中古トラック1台で東京の焼き芋問屋への販売からスタート

ポテトかいつかの主力商品は、2010年に品種登録された「紅はるか」を独自の貯蔵法で熟成させたオリジナルブランドのさつまいも「紅天使」の焼き芋。「紅天使」は、焼くことで最高糖度が47度にもなり、濃厚な甘さとやわらかくねっとりとしたなめらかな食感が特長で、一度食べたら忘れられないスイーツのようなとろける美味しさです。

このほか、絹のようになめらかで舌触りが良く上品な甘みの「夢ひらく」や、紫色でねっとり甘くしっとりとした食感の「華むらさき」といったオリジナルブランドのさつまいもを中心に、焼き芋用原料や加工商品として量販店や食品メーカー等へ販売する卸売事業と、通販や直営店舗を通して消費者へ販売する直販事業を展開しています。

紅天使と華むらさき

「熟成蔵 紅天使」(写真左)と「華むらさき」。冷たいまま食べることで、より一層甘さが際立つねっとりとした食感の焼き芋です。

創業は1967年、貝塚社長の父である貝塚照雄氏が19歳の時に、現在の茨城県かすみがうら市において、アルバイトで稼いだ資金を元手に3万円の中古トラック1台で地元の農家から仕入れたさつまいもを、東京の焼き芋問屋へ卸売りをしたことから始まりました。

「父は農家に生まれ、厳しい環境のもとで身体も弱く学校にも十分に通えない中、自身で事業を興したいという想いを強く持っていたそうです。どのような商売を始めようか検討する中で、家の周囲にさつまいも畑があったことから、身近なさつまいもに着目して起業をしました。素材の良し悪しがそのまま焼き芋の出来につながりますので、高品質を厳しく求められる中、素材の品質を見極める“目利きの技術”が磨かれていきました」

“目利きの技術”は、その後のポテトかいつかの品質を支える基礎になり、さつまいもの苗作りや栽培から貯蔵、加工、出荷、販売に至るまでの一貫した品質管理体制の構築につながっています。

産地の持続的な成長を支援~畑から貯蔵、加工、出荷まで一貫した品質管理体制を構築

ポテトかいつかは、茨城県鉾田市を中心とした鹿行地区の600軒を超える農業生産者からさつまいもを仕入れています。取扱量は年間約24,000トンで、青果用さつまいもの取扱量においては民間企業でトップを誇ります。

さつまいも

2018年に株式会社かいつかファームを設立し、自社による栽培体制も構築。農業生産者へ種芋や苗、肥料を提供しているほか、収穫作業の代行や栽培指導、専門家の植物医師による病害虫防除等のサポート、定期的な情報提供等、年間を通じてお客さまへ安全で安定した品質の美味しいさつまいもをお届けするために、農業生産者を支援しながら意見交換を重ねています。

さつまいも畑

さらに、研究開発部門を設置し、試験圃場での栽培技術の研究や、新品種の探索、貯蔵技術の向上等、高品質で安定した栽培体系の確立と優れたさつまいも品種の開発に力を注いでいます。

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「美味しさを追求するうえで、最も重要なのが素材の品質です。高品質の素材が出来れば、その良さを活かしながらひと手間加えることによって、本当に美味しい焼き芋が出来るのです。生産者様が持続的にさつまいも作りに取り組めるような環境づくりを行うことが、結果的に素材の品質を高めると考えています。また、弊社の種芋等を使って栽培していただくことでトレーサビリティが確保され、安全・安心な素材づくりにもつながっています。

苗栽培や収穫といった負担が大きい作業を代わりに担う取り組みへのご要望は年々増えており、農業現場での高齢化と人出不足の深刻化が進んでいることを感じさせられます」

さつまいもの収穫は8月中旬から11月頃までですが、収穫後は専用の貯蔵庫で、キュアリング(熱処理をすることにより、皮と身の間にコルク層をつくり、腐敗や病気から守る)を行います。最も適した温度・湿度で保存管理することで、甘みが増した高品質のさつまいもになります。

貯蔵庫

貯蔵庫ではさつまいもが安眠できる環境づくりを整えています。

焼き芋工場では、厳選したさつまいもを、その時の気温や湿度、さつまいもの状態に合わせて調整しながら、一つひとつ手間をかけて丁寧に焼き上げ、出荷しています。また、製造工程の高度化にも取り組んでおり、その一つが不良品の検出や等階級分けをする選別ラインでのAIの導入です。洗浄後の搬送から計量、外観不良品の検出、選別までの工程で自動化を進め、従業員の作業負担の軽減や選別品質のバラつきの防止につなげています。

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選別ラインでAI外観検査ソリューションを導入し、自動化を実現。

お客さま目線での商品開発と食べ方提案で新たな需要を創出

ポテトかいつかでは、量販店向けに焼き芋ブランド「ほくほく山KAITSUKA」を展開しています。また、2008年に通販事業を開始し、2012年に茨城県かすみがうら市に本店直売所(2020年に同市内に移転リニューアル)をオープン。その後、同県つくば市や土浦市、千葉県流山市、神奈川県川崎市に直営店舗の熟成焼き芋専門店「蔵出し焼き芋かいつか」を展開しています。

ほくほく山KAITSUKA店頭

全国4000店舗以上の量販店の入口や青果売り場等において、焼き芋ブランド「ほくほく山KAITSUKA」を展開。“心をほくほくにする焼きいもを、日本中に山ほどお届けしたい”という想いが込められています。

店舗

熟成焼き芋専門店「蔵出し焼き芋かいつか かすみがうら本店」(左)と、2021年にオープンした「蔵出し焼き芋かいつか ラゾーナ川崎プラザ店」

直営店舗の始まりはもともと、形や大きさが不揃いなさつまいもを焼き芋にして、ご近所の方々へお裾分けをしたところ、やがて「美味しい」と口コミで評判になり、購入を希望する方々の長い行列ができるようになったことがきっかけです。その人気は、焼き芋の常識を覆したそれまでにはなかった“冷たい焼き芋”の開発にありました。

「紅はるかが誕生して初めて食べた時、なめらかな甘さの美味しさに感動し、ぜひ多くの女性の方々に味わっていただきたいと思いました。スイーツのように冷やせば一層美味しく、日持ちもするので、いち早く栽培の拡大と商品開発を進め、冷たい焼き芋として展開をしました」

現在、直営店舗や通信販売では冷たい「紅天使」の焼き芋を筆頭に、干し芋や大学芋、スナック、ロールケーキ、プリン、ジェラート、サブレ等、さつまいもを贅沢に使った数々の商品ラインアップを展開。カフェ併設の直営店舗では、焼き芋に季節の野菜や果物を組み合わせた軽食メニューも並んでいます。

「私が家業に入った頃は、屋台で売られている懐かしいイメージのホクホクとした焼き芋が主流で、自分がお客さまの立場に立った時にワクワクするようなさつまいも商品やお店がありませんでした。その一方で、規格外のさつまいもが廃棄されているのを目の当たりにして、課題に感じていました。さつまいもに付加価値をつけて新たな商品や食べ方の提案をすることで課題を解決したいと、女性に喜んでいただけるようにデザイン性にこだわり、お客さま目線での開発を進めました。店舗でさつまいもの魅力を発信し、ワクワクしながら商品を選ぶ楽しさと美味しさを体感していただきたいと思っています」

スイーツ

ロールケーキやプリン、ポテトアップルパイ等、さつまいもを贅沢に使った様々なスイーツメニューを展開しています。

天使のかけら

「紅天使」の自然な甘さを皮つきでまるごと味わえるヘルシーな仕上がりのナチュラルスナック「天使のかけら」は、ポテトかいつかがカルビーグループになって初めて発売したスナック商品。カルビーポテト株式会社帯広工場(北海道)で製造しています。

カフェメニュー

カフェ併設の直営店舗(蔵出し焼き芋かいつか かすみがうら本店、つくば店、流山おおたかの森店)では、軽食メニューも充実。メニュー開発は、管理栄養士監修のもと、身体への栄養バランスを考えながら、焼き芋と季節の素材を組み合わせた新しい食べ方を提案しています。
「焼き芋バルケッタ ゆずジンジャー」(写真左)は、焼き芋とゆずとしょうがを組み合わせ、冬の身体を温める一品。にんじん、ごぼう、れんこんの根菜がたっぷり入った「ごろごろ野菜とロングソーセージ」は、焼き芋とそれぞれの野菜の美味しさが存分に楽しめます(いずれも2月までの季節限定)。

直営店舗に留まらず、お客さまとのつながりを深めるために様々な体験型イベントも開催。料理教室や収穫体験イベントは、地元の茨城県内のお客さまだけでなく、東京等、県外からの参加者も多く、大人気になっています。

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「ポテトかいつかが、ここまで成長できたのは、地元のかすみがうら市をはじめとする地域の方々に支えられてきたからです。地域との連携をさらに深め、イベントを通じて観光や文化等の情報を発信し、地域と国内外の人々をつなげる場づくりも積極的にしていきたいですね」

さつまいもの新たな価値を掘りだして、一人ひとりにお役立ちを提供していきたい

さつまいもは栄養価が高く、健康志向の高まりとともに健康や美容面での機能性に注目が集まっていますが、まだその価値が十分に出しきれていないと貝塚社長は話します。

【原稿使用写真】IMG_3768

「直販事業を始めた際に、店頭でお客さまから『糖尿病の夫に食べさせても大丈夫か』『便秘には効果があるのか』等、様々なお声をいただきました。これらのお声に対し、エビデンスを整備してきちんとお応えできるようにしたいと考え、研究所や大学と連携して紅天使の焼き芋が腸内環境へ及ぼす効果についての研究を行いました。さつまいもは品種それぞれに特徴や機能がありますので、今後より多くのデータを集めて、一人ひとりのお客さまの食や健康に関するお役立ちをご提案していきたいと思っています。

また、祖父の介護を通して、排泄等の問題の大変さを実感し、腸内環境を整える予防食として介護現場の問題解決のお役に立てないかと考えています。さつまいもは大きな可能性を秘めた食物ですので、今後も新たな可能性を見出しながら、さつまいもの価値を世界中に広めていきたいです」

■「ポテトかいつか」の会社概要
社名:株式会社ポテトかいつか
本社:茨城県かすみがうら市男神240番地18
創業:1967年
業務内容:さつまいも生産・加工・販売
HP:「蔵出し焼き芋かいつか」公式ウェブサイト(オンラインショップ) http://www.kuradashi-yakiimo.com/shop/
公式Instagram   https://www.instagram.com/kuradashi.kaitsuka.official/
公式Twitter   https://twitter.com/yakiimokaitsuka




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