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ワクワクするような「物流の未来」を創造し、ドライバーから選ばれる企業に

いつものお店で見かけるカルビー商品。それは“きちんとお届けする仕組み“があるから棚に並んでいます。この“仕組み”をカルビーは1990年代から築いてきました。

物流子会社を設立し、「スナックフード・サービス株式会社(以下:SFS)」と名付けました。

時を経て30年余り、社名は「カルビーロジスティクス株式会社(以下:カルロジ)」と変化し、事業は進化し続けています。

常にカイゼン活動を続け魅力ある物流会社を目指すカルロジはどのように発展してきたのでしょうか。カルロジの社長であり、カルビーSCM本部の本部長も兼務する松元久志氏にお話をうかがいました。

松元ひさしが笑って立っている

松元 久志(まつもと ひさし)
カルビーロジスティクス株式会社 代表取締役社長
1982年 カルビー株式会社入社。以来、製造・物流・財務・経営企画、グループ会社の原材料物流・営業企画などを経験し 、2017年4月よりスナックフード・サービス株式会社の社長に就任。2018年7月にカルビーロジスティクス株式会社に社名を変更。

カルビー独自の物流会社を設立した背景

1988年年頭、カルビーの松尾雅彦副社長(当時)は方針説明の中で「物流を制する企業が市場を制する」と言っています。企業経営における物流分野は、大きな位置を占めていくと考えられていました。それから2年後の1990年4月2日にカルビーの子会社で物流部門の専門会社であるSFSが設立されました。

「1990年は、いわゆるバブル景気後半で、商品を運んでもらいたくても思うように運んでもらえなかったのです。そこで、スナック菓子をきちんと全国にお届けする仕組みをつくろうとスタートした会社です。更にはカルビーの商品だけを運ぶのではなく、スナックフード・サービスという名前の通り、食品業界の全体最適な配送を実現することを目指しました。

各メーカーから卸・小売業へスナックや食品を共同配送(以下:共配)し、効率的に運ぶことでトータル流通コストを削減するという目的もありました。もっと言うと、当時は副社長の言葉にもありますように、物流需要を大きな市場ととらえたうえで市場を開拓し、単独企業として利益を上げることも見込んでいました」。

松元が話している様子

社名に「カルビー」を入れなかったことには理由があります。

「共配で効率よくスナックを運ぶために、当時はあえて社名に『カルビー』を入れませんでした。『カルビー』と入れるとカルビーだけの物流会社のように感じるじゃないですか。他のお菓子メーカーさんに参画いただきたかったので。SFSができる前は、トラックに『カルビーかっぱえびせん』や『カルビーポテトチップス』の文字が書いてありましたけどね」。

SFS設立以前のトラック
SFS設立以前のトラック

スナック菓子は軽量でかさ高、単価が高くないため運賃負担力は低く、効率的に運ぶ仕組みづくりはとても重要なことでした。全国に物流拠点を配置し、お客様に安定して商品を届けるため自前で供給できる体制をつくり上げていきました。

たゆまない“カイゼン活動”による信頼の獲得

カルビー本体ではTPM(Total Productive Maintenance)活動※が全盛期。SFSでも物流版のTPM活動を取り入れ、メーカー物流として品質のカイゼンを常に行い、現在でも継続しています

※生産システムに存在するあらゆるロスをゼロにする活動を通して、人と設備の体質を改善し、企業体質の改善を実現する活動。

松元が話している様子

「取引先様へ、年に1回方針説明を行っています。『チームワークとネットワークで課題解決』を方針で掲げていて、サプライチェーンマネジメント(以下:SCM)のムリムダムラを取引先と一緒になって解決していこうというのが狙いです。結果としてサービスの品質や働く環境が良くなり、菓子を運びたい、カルビーの商品を運びたいという人が増えることが理想です」。 

2018年7月1日、共配が当たり前となった近年、人材が集まりにくいという事情もあり、「カルビー」ブランドの活用も意図して、「カルビーロジスティクス株式会社」に社名を変更しました。

カルロジのロゴ
カルロジロゴ

「カルロジは、単に運ぶだけの運送会社ではなく、メーカー物流視点でのカイゼンを共配企業に提案しています。年間の商品設計、ドライバーの拘束時間や労働時間削減、さらにはBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対応なども含まれます。最近ではお客様や取引先様からお問い合わせをいただくようになりました」。

カイゼン活動によってカルビーグループの輪を広げているカルロジですが、頻繁に発生する地震や災害への対応はどのようになっているのでしょうか。

「豪雨豪雪や地震が全国で起こるようになりました。全国で震度5以上の地震が発生すると携帯へアラートが発信されます。状況に応じて対策本部を設けて対応します。今年3月に起こった関東の地震では、夜の11時36分に地震が起こり、11時45分には第1回対策本部で現場を確認し、0時半には各地へ報告メールを流しました。翌8時30分に第2回対策本部を開きました。このような取り組みによって安全安心にお客様のところへ商品をお届けできています」。

SCMのプロフェッショナルとして、状況に応じて商品を配送できる強固な仕組みが確立されていました。

人との出会いやつながりを大切にする社風

このような現場を支えてくれている社員に求めることは3つあります。①チームワーク②時間と量と品質を保証する③常にカイゼン(問題を発見し解決できる人)

「『年3回時間をください』と社員には言っています。その時間はタウンホールミーティングにも充てられます。そのうちの1回は全国から本社がある宇都宮に集まります(今はコロナ禍でオンライン開催)。日曜日の開催ですが、参加率がとても高いのです。1回目は前年度の活動報告と新年度の活動方針です。1部と2部構成で、1部は会社の活動報告や方針をまじめに伝え、2部はおいしいものを食べながらワイワイガヤガヤ話します。

タウンホールミーティング1部の様子
タウンホールミーティング1部の様子

2回目は上期の総括と下期について、3回目は総括。2~3回目はセンターごとに集合します。

各センターにお店のチョイスは任せているので、どのような趣向かいつも楽しみにしています。日曜日に出てもらうので『来てよかったよね』と言ってもらえる企画を考えないといけないので、スタッフは大変だと思いますけど」。

この他にも「感謝を伝える」をキーワードとして年1回、奥様でもご両親でも祖父母でも彼氏彼女でもOKで花束を贈る企画を設けています。

「このような活動を通じて、従業員とその家族から働きたいと思われる会社になりたいのです。最初に花束を贈ったときは社員のおばあちゃんから電話がありました。『この歳になって誕生日を覚えていてくれるなんてうれしい』と。365日稼働、連休も取れない、働く環境は厳しいですけど、オールカルビーでつくった商品をお届けするという大事な役割を担っていますから、毎日運ばないといけません。そんな中でも働きたいと思っていただける会社になりたいですね」。

松元さんが話している様子

自動化とAI活用によりSCM改革を進めます

カルビーグループSCM部門では現在、物流現場の自動化とAI(人工知能)を活用したホワイト物流を推進しています。ホワイト物流に取り組むことはAIに掛けて「愛」だと物流業界では言っています。深刻化する物流現場の人材不足に対応するため、働き方改革を行っています。

最初に行ったのはカルビー京都工場の無人フォークリフトと自動保管倉庫です。こちらはすでに完成し、昨年湖南工場(滋賀県)に導入しました。カルビーの工場の中で最も生産量の多い新宇都宮工場では、倉庫の自動化を実現しました。

「物流現場で働く人の環境をさらに良くしていきたいです。時代はどんどん変化し、仕事のやり方も変わっていきます。『基本の徹底と変化への対応』を軸に社内・社外の境を超えて、物流業界の働き方を考えていきたいですね。そして、カルビーグループの中でもSCMの未来をわくわくするものにしていきたいと思っています」。


■「カルビーロジスティクス」の会社概要
社名:カルビーロジスティクス株式会社
本社:栃木県宇都宮市平出工業団地43番地167
創業:1990年4月2日
業務内容:サプライチェーン・マネジメント(SCM)のプロフェッショナルとしてお客様に安全・安心な商品をお届けしています。
HP:https://www.callogi.co.jp/

文:間瀬理恵
写真:櫛引亮

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!次の記事もお楽しみに