見出し画像

「じゃがりこ」にとってダジャレとは?その核心に迫る!

突然ですが、「じゃがりこ」のパッケージにダジャレが掲載されていることをご存じでしょうか。
世の中にはたくさんの商品がありますが、ダジャレの掲載を30年近く続けている商品は他に類を見ないのでは。
本日は、「じゃがりこ」になぜダジャレが掲載されているのか、ブランドマネジャーである谷澤渓介さんにお話を伺い、その秘密を紐解いていきます。

写真右、カルビー株式会社マーケティング本部素材スナック部じゃがりこチームブランドマネジャー谷澤 渓介。写真左、じゃがりこのキャラクターじゃがお。

谷澤 渓介(たにさわ けいすけ)
カルビー株式会社
マーケティング本部 素材スナック部 じゃがりこチーム ブランドマネジャー

2016年10月入社。「カルビーポテトチップス」ブランドのマーケティングを担当後、2020年4月にじゃがりこチームに異動。 2022年4月より現職。

※写真左:じゃがお(「じゃがりこ」のキャラクター)


「じゃがりこ」にダジャレを掲載することになった背景

そもそもダジャレとは何か。辞書で調べると「くだらないしゃれ」とあります。古くは貴族が知識や教養を示すため用いた気の利いた言葉遊びを「洒落」とし、その中でも程度の低いものを「駄洒落」というようになったそうです。
それがなぜスナック菓子である「じゃがりこ」にも掲載されるようになったのでしょうか。

「じゃがりこ」のダジャレとして、最初に採用されたのは、現在も使われている「食べだしたらキリンがない」というもの。

実は、1995年発売当時のパッケージには、ダジャレは掲載されていませんでした。ダジャレの掲載は、「じゃがりこ」を親しみやすい商品にするためにキャラクターを載せよう、という話から始まっています。

「どんなキャラクターが良いか頭をひねっている時に、企画書にたまたま載っていたキリンのイラストを見た上司から『仕方がないからこのキリンでも載せておくか』と言われ、ダジャレ好きな開発担当者が『じゃがりこは食べだしたらキリンがないですからね』と応じたのがきっかけだと聞いています」(谷澤)

こうしてまずはパッケージにキリンのキャラクターを掲載するようになりました。

その後、「お客さまから『なぜパッケージにキリンのキャラクターが載っているのですか?』とのお問い合わせが相次ぎ、その度にお客様相談室のメンバーが『食べだしたらキリンがないからです』と恥ずかしそうに答えているのを見るに見かねて、『食べだしたらキリンがない』というダジャレも掲載するようになりました」(谷澤)

これが「じゃがりこ」のダジャレの始まりです。

ここから、なぜダジャレの掲載が脈々と続いてきたのか、これまでに販売した商品を遡りつつ、秘密を探っていきたいと思います。

「じゃがりこ」ダジャレベストセレクション!

これまで「じゃがりこ」に掲載されたダジャレは200種類以上。その中でも谷澤さんの心に残る3作品を選んでもらいました。

■じゃがりこ 東北ずんだ味(2018年発売 ほか )

じゃがりこ 東北ずんだ味の商品パッケージ
ずんだ だん だんだん!」


■じゃがりこ シーフード(2008年発売)

じゃがりこ シーフードの商品パッケージ
Shake it up baby(シャケナベイベー)」


■じゃがりこ はちみつバター味(2018年発売:ファン共創商品)

じゃがりこ はちみつバター味の商品パッケージ
「じゃがりこファンと一緒につくりました! ~!ちみつな計画!」

選定理由を尋ねると、「思わずくすっと笑っちゃうようなものや、おおなるほど!と思うものを選んでいます」(谷澤)とのこと。

さて、商品によってかなり色々なダジャレが掲載されているように見受けられますが、それぞれの商品担当者はどのようにダジャレを考えているのでしょうか。

ダジャレの作り方

ダジャレを普段どうやって考えているのか尋ねたところ、「2週間に1度、じゃがりこチームの定例ミーティングで、必ず1人1つダジャレを言ってから会議をスタートすることにしています」と答える谷澤さん。
商品に掲載するダジャレとは別に、あくまでトレーニングやアイスブレイクの一環として実施しているのだとか。

じゃがりこチーム定例ミーティングの様子
じゃがりこチーム定例ミーティングの様子

「テーマはフリーで、その日にあったことや最近体験したことを題材にしたダジャレが多いですね。「先週、湖南(こなん)工場※に行ったんだけど、ここはどこなんだ!」のような」(谷澤)
※湖南工場:カルビーの滋賀県湖南市にある工場

このトレーニングは2022年度に開始し、これまでのダジャレは全て記録しています。1年間で最も良いダジャレを「Most Valuable Dajare(通称MVD)」に選出し、チームで賞賛しているそうです 。

「2022年度のMVDは『おすし食べ損ねてもう時すでにおすし』で、みんなでお寿司を食べにいきました。2023年度のMVD選出でもダジャレにちなんだ食事に行く予定です。」(谷澤)

こうして、年間200本以上のダジャレトレーニングを重ねることで、「やっていくうちに(すぐダジャレに)結びつけられるようになってきます。ダジャレが思い浮かばない時はなく、テーマがよほど難しいものでなければ、何かしら出てきます」と谷澤さん。

そんな谷澤さんも、「じゃがりこ」チーム配属当初はダジャレ作りに苦労していました。定例ミーティングでダジャレを始めた頃は、谷澤さんも含めて皆が恥ずかしがりながら言っていたといいます。
それが今や、プライベートでもダジャレを言うまでになっているとのことでトレーニングの成果は着実に表れているようです。

実はパッケージ以外にもたくさんダジャレを使っています!

「じゃがりこ」では、パッケージ以外でもダジャレを活用しています。
SNSの投稿に活用したり、ファンサイト「じゃがりこ探検隊」の中で「今週のダジャレ」として運営側から週に1回ダジャレを発信したり。
「じゃがりこ探検隊」の中で「ダジャレチャレンジ」を実施、そこにファンの人がダジャレを投稿する姿も多く見られます。

また、2023年11月に発売した「じゃがりこ 関西風おだし味」の発売を記念したキャンペーンで、「『あなたのダジャレ100万円で買います!』をコンセプトにダジャレを募集するキャンペーンを行いました。ダジャレはハードルが低いので、気軽に参加してもらえたのではと思います。反響は良かったです」(谷澤)

「じゃがりこ 関西風おだし味」キャンペーン特設ページ
「じゃがりこ 関西風おだし味」キャンペーン特設ページ

「今後も、新商品をファンの皆さんと一緒に共創していきたいと思います。ダジャレを含めたアイデア募集をやっていけたらいいですね」(谷澤)

「じゃがりこ」にとってダジャレとは?

「『じゃがりこ』は、『私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。』というカルビーの企業理念の『楽しさ』の部分を先導しているブランドだと思います。
商品づくり、コミュニケーションにおいても『楽しいこと』を重要視しています」(谷澤)

インタビューに答える谷澤さん

『楽しいこと』を重視するブランドなのでダジャレを続けてきました。一方で、原点である『食べだしたらキリンがない。』のダジャレがあったからこそ商品に個性が生まれ、面白い・楽しいブランドイメージに育っていったという気もします。」(谷澤)

インタビューの最後に、谷澤さんは海外展開の可能性についても夢を膨らませました。

「現在、じゃがりこグローバル化プロジェクトの中で、海外でも守るべきブランドの価値と、現地に合わせて変えるべきところについて議論しています。もしかしたら、今後、ダジャレでコミュニケーションするアイデアも出てくるかもしれません」(谷澤)

英語にも言葉遊びの文化がありますし、「楽しい」価値を伝えるためにダジャレを使うのも良いかもしれません。
グローバルで愛される商品を目指し、「JagaRico」がどう変わっていくのか、どうぞご期待ください。

文:増田 亮子
写真:深谷 真理奈


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!次の記事もお楽しみに