【対談】Calbee× ROOTOTE コラボレーションから生まれた”好きなだけスナックを買える”トートバッグ誕生秘話
2024年の夏、「ポテトチップス うすしお味」がトートバッグに姿を変えました!
2種類のカラーがあり、ひとつは、おなじみのパッケージをベースにしたもの。もうひとつは、袋を開けた時の光景をイメージした色合いです。60gの「ポテトチップス うすしお味」なら、最大12袋を持ち運べる“大容量サイズ”が特徴です。
さらには、カルビーグループが品種開発したじゃがいも「ぽろしり」をモデルにした「ポテトポーチ」も登場しました。
これらの商品は、カルビーのブランドやデザインといったIP(知的財産・Intellectual Property)を活用した事業を行う「Calbee Future Labo(カルビー フューチャー ラボ、略してCFL)」と、トートバッグ専門ブランド「ROOTOTE(ルートート)」のコラボレーションによるものです。
■Calbee Future Labo(CFL)についてはこちらの記事をご覧ください。
この記事では、CFLをリードする松本知之さんと、ルートートの代表取締役を務める神谷富士雄さんが対談。CFLのデザイナーである長澤君枝さんがファシリテーターとなり、じゃがいもとトートバッグ、それぞれの “Lover”たちが、コラボレーションの道のりを振り返りました。
スナック大好きな人が喜ぶ「膨らむトートバッグ」
長澤:今回のトートバッグは、ポケットが膨らむ構造になっていて収納量を倍増させられる点が特徴です。このアイデアは、カルビーが手土産として持参したポテトチップを見て、「スナック菓子はかさばるので、たくさん持ち運べないのが残念」と会話したことから生まれましたよね。
神谷:スナック菓子はさまざまな商品やフレーバーがあり、私はお店に行くとあれもこれもと買いたくなる。だけど袋が膨らんでいる分、意外と持ち帰れる量に限りがあって、思う存分買えないことが多いんですよね。同じような方はきっと日常的にいて、欲しいお菓子を好きなだけ詰められるよう、荷物を入れる時に膨らむトートバッグがあればいいなと考えました。お菓子を愛する人のお悩みを解決できるトートバッグを作りたいという思いで、CFLのみなさんといろいろ話し合いましたね。
実際に、ある日駅を歩いていたら、カルビーのお菓子をビジネスバッグにパンパンに詰め込んだ方がいらっしゃったんです。その様子を見た時、「やはりこの企画は正解だった!」と感じました。その方がぜひこの「スナックトート」を見つけてくれればいいなと願っています。
松本:「食品とは違った価値を作りたい」と考えてこのコラボレーションを始めましたが、いざトートバッグのプロの手にかかると、「ポテトチップス」からこういうものができるんだと新鮮でしたね。
神谷:カンガルーのおなかのような「ルーポケット」が飛び出す仕組みになっていて、普段は小さく収納できて、使う時だけ膨らませられます。このルーポケットはROOTOTEの象徴でもあります。
松本:さらに今回は、じゃがいもの品種「ぽろしり」のポーチも開発いただきました。もともとCFLでは「畑へのこだわりを楽しく伝えられるような、じゃがいものかわいいグッズを作りたい」とずっと考えていて、実際の「ぽろしり」の写真を使ってポーチにしました。
神谷: 目を付けて顔にしたのは、じゃがいものくぼみが口のように見えたというデザイナーの意見がきっかけでしたね。もしも収穫したたくさんのじゃがいもの中に、こっちを見ているポーチが混ざっていたらかわいいなと(笑)
松本:改めてじゃがいもはすごいと思いましたね。食べ物として無くてはならない存在であり、便利でもある。それに加えて、こんなにかわいい。じゃがいもの持つ愛らしさをここで再認識したことは、CFLの活動をする上で大きな収穫だったかもしれません。
絶妙な二次創作で「おかしい」を作ることができた
松本:私たちCFLは、「おかし じゃなくて おかしい をつくろう」をチームビジョンに、現在はカルビーのブランドやキャラクターを使って、雑貨やグッズ、ゲームアイテムなどを展開するIP事業を行っています。
心がけているのは「Be Friendly, Be Charming.」なデザインで、パッケージや商品名をそのままグッズにするのではなく、アレンジを加えて二次創作性を楽しむことを大切にしています。
カルビーのブランドや思いを伝えるにも、正面から説明するだけだと足りないと感じることもありました。CFLは違った角度で、親しみやすくかわいらしく発信して、より多くの人に届けたいのです。
長澤:その考えを神谷さんやデザイナーの方にお伝えしたところ、具体的な商品アイデアを次々にご提案いただきましたよね。
神谷:今回の商品は、私たちのコラボレーションのこだわりも反映できたと思っています。ルートートは「Fun Outing!~楽しいお出かけ!~」を合言葉に、トートバッグの専門ブランドを展開してきました。先ほど話したルーポケットが特徴であり、ブランド名と社名も、カンガルーの「ルー」と「トート」の組み合わせなんです。
いろいろな企業とコラボレーションさせていただきましたが、トートバッグに商品名やそのデザインを載せるだけでなく、トートバッグそのものに新たな価値を宿らせたいと考えてきました。今回の商品も スナック“Lover”の方々が喜ぶ機能をつけられたと思っています。
松本:パッと見ただけでは「ポテトチップス うすしお味」のトートバッグとは分からない、でも説明を聞くと「なるほど」と思っていただけるような二次創作になりましたよね。カルビーブランドと人々の新しい接点を作るのがCFLの目指すところであり、うまく生活にブランドが溶け込むよう仕立てられた商品だと感じます。
長澤:製作の過程では、他にもたくさんのアイデア候補がありましたよね。
神谷:ポケットをタイツのような生地にして、スナックが入ると伸びていくアイデアや、スナックの形に合わせてバッグ自体が変形するアイデアなどがありましたね。会議の中でどんどんアイデアが湧いてきて、阿吽の呼吸のように両社で話を進めていけたと思います。
松本: 親しみやすくかわいいものを作るには、作り手が楽しんでいることが一番です。常に笑いながら、柔らかい空気感でできたことは本当にありがたいですね。
思い返すと堅苦しい雰囲気で話した記憶もないですし、神谷さんのスナック愛やカルビー愛をひたすら聞いたこともありました。「かっぱえびせん」は、一口で6本食べるのが一番おいしいというお話も印象に残っています(笑)。そういう会話の中で、自然と乗り越えたい課題や目指すことを共有できたと思いますね。
神谷:私にとって、スナック菓子は生活の中にあるもの、いわば「ライフスナック」であり、特にカルビーは食べながら“楽しい”を提供してくれるブランドです。それは昔も今も同じですし、このコラボレーションもそのひとつではないでしょうか。お菓子もトートバッグも、生活必需品というよりは、付加価値を与えたり、心を豊かにしてくれたりするものですから、そんな共通点を見つけるのも楽しかったですね。
また、CFLの皆さんは活動のコンセプトもデザインのルールも明確に持っていて、だからこそ迷いなく、楽しく進められたと感じます。
最初のコラボレーションは「miino」バッグ、お互いの気付きとは
長澤:改めてコラボレーションの経緯を振り返ると、始まりはルートートさんからご連絡をいただいたことでしたよね。
神谷:2023年春に「じゃがりこ」のスニーカーが発売されたのを見て、やはりカルビーの大ファンであるうちの社員がご連絡しましたよね。
それから松本さんや長澤さんとお話しして、最初にコラボレーションしたのは「miino」のプロジェクトでした。
松本:カルビーでは、新潟県の粟島という離島で取れる希少な青大豆「一人娘」を育てて「miino」をつくるプロジェクトを行っており、その収穫用バッグを一緒に作りましたね。
■粟島一人娘プロジェクトの詳細はこちら
神谷:現地の作業を見せていただいたり、試作品を使ったりしながら、収穫を楽しく快適にするトートバッグを考えていきましたね。軍手を挟めるゴムのベルトを着け、外側のポケットはメッシュにして、汚れ物はそこに入れれば砂が外に落ちるように。使う人の気持ちにフィットしたものにしていきました。
長澤:そのプロジェクトを経て今回のコラボレーションへと至りましたが、商品を作ってみて、改めてお二人の気づきや発見はありましたか。
松本:機能面をとても細かく考えて商品を作っていらっしゃいますよね。ポケットひとつとっても、使用者のことを思ってディテールまでこだわっていらっしゃる。お菓子とバッグの違いはありますが、同じメーカーとしてそのこだわりの深さを感じました。
神谷:私は改めて、カルビーのこだわりのすごさを感じました。今回、CFLの皆さんに招いていただいて、北海道の契約生産者の収穫を見学させていただいたのですが、時期やフレーバーによって販路を変えるなど、本当に深め方がすごいなと。そもそもカルビーが使用するじゃがいもの量は、国内生産量の20%※近くに及ぶと聞いて衝撃を受けました。
※2024年現在
松本:カルビーでは、パートナー企業様を契約生産者のもとにご案内させていただくことがあり、24年秋にルートートのみなさんと北海道の圃場を見学に行ってきました。長澤さんに作ってもらったおそろいのパーカーを着て、楽しく過ごせましたね。
長澤:楽しんでいただけたこと、私もとても嬉しかったです! では最後に、これからの展望についてもお願いします!
神谷:北海道を訪問して、じゃがいも“Lover”の方に刺激を受けましたし、私たちもトートバッグ“Lover”として、やるべきことがまだまだあると感じました。自分がカルビーに抱いていた愛情も間違っていなかったですし、私たち流に言うと「ありがトート」という気持ちです。
松本:北海道でもずっとリラックスしてお話しできましたし、これからも同じ空気感で、楽しくチャーミングなものを作っていけたらうれしいですね。CFLからも、みなさんに「ありがトート」と伝えたいです。
文:有井太郎(外部)
写真:稲垣 純也(外部)
編集:瀧澤彩