「おさつスナック」誕生40周年!さつまいものスナックが秋冬の定番になれた理由~10月13日は「さつまいもの日」~
今が旬真っ盛りのさつまいも。10月13日の「さつまいもの日」にあたり、今回はさつまいもの自然な甘みと香ばしさ、ふんわり軽い食感が楽しめる「おさつスナック」に迫ります。
「おさつスナック」は、2021年11月に発売40周年を迎えるロングセラー商品です。ホクホクに蒸かしたさつまいもと香ばしく焼いた焼きいもが練り込まれ、可愛らしいさつまいもの葉っぱを模した形状が特長です。40年間、開発者をはじめ歴代の担当者がさまざまな工夫や努力を重ねて成長し、今や秋冬に欠かせない定番としての人気を獲得しています。
今回お話を聴くのは現在商品を担当する篠谷佳菜子さんと、友田梢さん。「諸先輩方が築き上げ40年受け継がれてきたおさつスナックをしっかりと育て、さらに多くのお客様に愛される商品にしていきたい」と意気込む2人に、「おさつスナック」誕生の経緯や変遷、ロングセラーへの商品秘話を聴きました。
篠谷 佳菜子(しのたに かなこ)写真左
カルビー株式会社 マーケティング本部 商品4部 2課 課長
2001年入社。2002年よりマーケティング本部で「ポテトチップス」「じゃがりこ」「ベジップス」などの企画に携わる。2021年より現職。現在は、「サッポロポテト」「おさつスナック」等のブランドチームを担当。
友田 梢(ともだ こずえ)
カルビー株式会社 マーケティング本部 商品4部 2課
マーケティング会社や広告代理店、食品会社を経験したのち、2021年に入社。主に「おさつスナック」「ベジたべる」を担当。
カルビー初のさつまいもを原料にした画期的なスナック
―まず、「おさつスナック」の誕生経緯を教えてください。
篠谷:「おさつスナック」の前身は、1973年9月に発売した「サツマポテト」という商品です。カルビーで初めて、さつまいもを原料に使用し、甘い蜜を掛けたスティック形状の堅い食感のスナックでした。当時はさつまいもを使ったスナックが殆どなかったこともあり、とても注目を集めたそうです。
―なぜ、原料にさつまいもを使用したのでしょうか?
篠谷:「サツマポテト」発売の前年(1972年)に「サッポロポテト」(現在の「サッポロポテト つぶつぶベジタブル」)が発売され、大ヒット商品になっていました。これに次ぐ野菜スナックを開発しようと原料素材の検討が進められる中で、ビタミンCや食物繊維など栄養価が高い食物としてずっと親しまれてきた、さつまいもに白羽の矢が立ちました。
友田:当時は茨城や埼玉などの仲買から泥付きのさつまいもを直接仕入れ、一から開発を始めたと聞いています。手に入る限りあらゆる品種のさつまいもを試し、品種ごとに加工の仕方を変えなくてはいけなかったり、さつまいもの糖分がバラついて焦げることも多く、スナックに適した品種のさつまいもを選ぶのに大変苦労したそうです。
1973年発売の「サツマポテト」
1973年当時の社内報記事。「サツマポテト」は、「かっぱえびせん」「サッポロポテト」の姉妹品として登場しました。
篠谷:続いて、その翌年の1974年には、さつまいものスナック第2弾として「おさつクッキー」を発売しました。これは、蜜をかけて直火で焼いて乾燥させた商品です。同年に発売した「サッポロポテト バーべQあじ」の生地の形状を応用したふっくらとした四角の網目型で、カリッサクッとした食感が特長でした。蜜掛けしたクッキーをガス直火で乾燥する際に、燃えてしまうことがあったため、蒸気乾燥機を導入したところ、今度はこんがりした香ばしい美味しさが出なくなってしまったとか、都内の焼きいも屋さんから機械を借りて、さつまいもの風味をより引き出す研究をするなど、試行錯誤しながら開発が続けられていたそうです。
1974年発売の「おさつクッキー」(写真左)。写真右は発売後にリニューアルしたパッケージ。
形状は“さつまいもの葉”をイメージ
―当時のカルビーは、創業の地の広島に加え、東京にも本社を置いて、全国規模への市場開拓を図っていた時期ですね。「かっぱえびせん」(1964年発売)のほか、「サッポロポテト」や「プロ野球スナック」(現在の「プロ野球チップス」)等が発売され、社内の記録では、それまで電話での第一声が「えびせんのカルビーでございます」だったのが、1974年に「スナックのカルビーでございます」に変わったという記載もありました。カルビーが商品の多様化を進める中で、いよいよ「おさつスナック」が誕生するのですね。
友田:「おさつスナック」が登場したのは1981年11月です。それまでの「サツマポテト」や「おさつクッキー」とはブランド名や形状を変えて発売しました。形状については、さまざまな形が検討されましたが、その3年前(1978年)に発売して好調だった「チーズビット」の食感や形を応用して、さつまいもの葉を模した薄い栗型になりました。当時は、甘さが感じられるスナックが珍しかったことに加え、健康や自然素材を謳ったことがお客様から支持を得てリピートされる方も多く、売上が拡大しました。
1981年発売の「おさつスナック」
さまざまな変遷を遂げながら秋の定番に
篠谷:発売後も健康志向を狙ってペースト状にしたタラの骨や小麦胚芽を加えたり、さつまいもをマッシュ状にして風味をより感じられるようにするなど、中身やパッケージは幾度となくリニューアルをしてきました。
「おさつスナック」と言えば、メインカラーはさつまいもをイメージした赤紫色ですが、1987年には店頭で目立つ白を基調にしたパッケージに変わったこともありました。フライドスナックが流行していたことを受け、一部のエリア限定で、スティック形状の「ニューおさつスナック」(1988年)や、蜜とゴマを掛けた「大学イモ」のスナック(1990年)といった応用商品も生み出されています。
1987年発売の「おさつスナック」
食べやすいスティック形状の「ニューおさつスナック」(1988年に広島で販売)と、「大学イモ」のスナック(1990年に青森・秋田・岩手で販売)
―スティックタイプもあったのですね。現在のような、ころんとした形状にはいつ戻ったのですか?
友田:発売当初と比べると売上が落ちていたこともあり、当初から親しまれていた栗型の形状に1992年に戻りました。1996年にはパッケージのデザインを現行品に近い和風の縦書きの商品ロゴにして秋冬の季節限定商品としてリニューアルをしました。この頃には中身も、程よい甘さや香りが感じられるように改良し、秋冬の「おさつスナック」と入れ替わる形で、春夏は「チーズビット」を発売するようになりました。2003年には、原料をより無駄なく活用するために、形状が従来の栗型から現在のような上下対称のツノがある葉型に変わっています。
1992年(写真左)に栗型の形状に。1996年(写真中央)には秋冬の季節限定品としてリニューアル。2003年(写真右)には、下が丸い栗型から、上下対称にツノがある現行の形に変わりました。
蒸かしたホクホクのさつまいもに加え、香ばしい焼きいもをプラス
―実は形状が変わっていたのですね!味わいも変わってきているのでしょうか?
篠谷:2004年に、より本格的な味わいを目指して、それまでの蒸かしいもに加え、ペースト状の焼きいもを生地に練り込むようになりました。さつまいもと言えば、やはり焼きいもですよね。当時の開発担当者が、スーパーで買ってきたさつまいもを焼きいもにして加えてみたところ、それまで以上に美味しくなったそうで、そこから消費者調査や適した原料を探し、実現に至ったそうです。ホクホクした蒸かしいもと、自然な甘みの焼きいもの香ばしさがバランス良く引き出され、コクがさらにアップしました。
2004年発売の「おさつスナック」。パッケージにも焼きいものシズル写真が登場。
友田:定番の「おさつスナック」に加え、2006年~2009年には紫いもを使用した商品を追加販売し、2011年からは、10月13日の「さつまいもの日」※に合わせて期間限定の関連商品も発売して2品体制にしています。
2品目にはこれまで、「塩バター仕立て」「香ばしバター風味」「はちみつバター風味」「大学いも風味」「スイートポテト味」などを展開してきました。きめ細かな砂糖をやさしくふんわりとかけ、単に甘いだけでなく、塩も効かせた口どけの良い程よい甘さの「おさつスナック」は、素材の美味しさを訴求した王道の味わいで、さつまいも好きの方々を中心に、幅広い世代の方々にお楽しみいただいています。一方、2品目の関連商品は、よりこだわりのある方や、自分へのご褒美、旬の美味しさで贅沢感を味わいたい方々にお楽しみいただきたいと思っています。
写真左から「紫いものおさつスナック」(2009年)、「塩バター仕立て」(2011年)、「大学いも風味」(2015年)、「スイートポテト味」(2020年)
※10月13日は「さつまいもの日」…その昔、江戸から十三里離れた川越のさつまいもが美味しかったことから、さつまいもは「栗(九里)より(四里)うまい十三里」とうたわれました。そこから、さつまいもの旬である10月の“13”日が「さつまいもの日」になりました。
焼きいもの配合量を30%アップ!
―毎年少しずつ進化をし続けているのですね。2021年8月に発売した「おさつスナック」も改良されているのでしょうか?
友田:専門店の進出やアレンジレシピ等、若い女性を中心に大人気となっている近年の焼きいもブームを受け、今年は焼きいもの配合量を30%アップ(2020年発売商品との比較)して、さつまいもの自然な甘さとともに、より香ばしさが感じられる商品に仕上げました。
関連商品の「2色のおさつスナック 発酵バター味」は、さつまいもの品種にこだわって、種子島産安納芋(黄色のスナック)と種子島ろまん(紫色のスナック)を使用しています。発酵バターを使用することで上質なコクと芳醇な香りを加え、さつまいもの味わいを引き立てた味わいに仕上げています※。
※黄色製品に使用している蒸しさつまいもは、種子島産安納芋100%です。
※紫色製品に使用している蒸しさつまいもは、種子島ろまん100%です。
※発酵バターはパウダーを使用しています。
2021年発売の「おさつスナック」と「2色のおさつスナック 発酵バター味」
さつまいもを起点にさまざまな角度から魅力を発信
―今がまさにさつまいもの旬です。お客様にお届けするために、取り組んでいることはありますか?
篠谷:「おさつスナック」は、商品自体の美味しさに加え、季節感を楽しんでいただけるスナックですので、さつまいもを起点にこれまでもさまざまな取り組みを行っています。
例えば、スーパーの焼きいも売場に什器を併設して販売していただいたり、種子島産の炭火焼き安納芋1kgが当たるキャンペーンや、「さつまいもの挑戦」と題してさつまいもかじゃがいものどちらかを応援すると、現金100万円かさつまいも100キロかがもらえるといったユニークなキャンペーンなどを行ってきました。
焼きいも売場の隣で展開。
「炭火焼き安納芋1kgプレゼントキャンペーン」(2016年)と、「さつまいもの挑戦キャンペーン」(2018年)
友田:今年は、発売40周年を記念したプレゼントキャンペーンを、グループ会社の(株)ポテトかいつかの焼きいもブランド「ほくほく山KAITSUKA」※とコラボレーションして実施しました。
また、ご自宅で過ごす機会が多いこの時期に「おさつスナック」を使って秋の味覚を楽しんでいただきたいという想いから、“さつまいもマニア”の新谷梨恵子さん監修レシピもTwitterで公開しています。「おさつスナック」を使うと、皮を剥いたり蒸したりする手間が無く、手軽にさつまいもの味わいを活かした料理ができるんですよ。蒸かしたホクホクのさつまいもと、香ばしい焼きいもをバランス良く練り込んでいるので、美味しさはもちろん、そのまま飾っても可愛らしいアクセントのある料理が完成します。
※「ほくほく山KAITSUKA」…カルビーのグループ会社である株式会社ポテトかいつか(本社:茨城県かすみがうら市、代表取締役社長:貝塚 みゆき)が、“心をほくほくにする焼きいもを、日本中に山ほどお届けしたい”という想いを込めて生み出した焼きいもブランド「ほくほく山KAITSUKA」。品種や熟成方法、焼き方等、全てにこだわった一味違う商品で、オリジナルブランドの「紅天使」焼きいもは、なめらかな舌触りと最高糖度47度のねっとりとした甘みが特長です。
「ほくほく山KAITSUKA」
「キャラメルチーズおさつスナック」「レーズンバターおさつサンド」「おさつスナックでポタージュ」「おさつスナック焼きいもチーズ」などのレシピを「サッポロポテト」公式Twitterで公開中!
https://twitter.com/CalbeeSapporoCP
―いろいろな可能性を秘めているんですね。最後に、これから目指していくことを教えてください。
篠谷:発売して40年が経ち、親子で楽しんでくださったり、発売時からずっと食べ続けてくださっている方や男性のファンの方も多いです。そのようなおさつファンの皆様の期待に応えながら、もっと多くの方々に、「秋になるとおさつスナックが食べたくなるね」と楽しみにしていただけるように色々な取り組みを続けていきたいです。
友田:おさつスナックの季節には常にメッセージがお客様に届くように、さつまいもを起点に魅力を発信し続けたいと考えています。今のおさつスナックファンの方はもちろん、もっと幅広い方々にも楽しんでいただけるよう、長く愛される商品づくりをしていきます。
カルビー公式Instagramより