「農業全体を盛り上げる」 新社長が描く「カルビーポテト」のこれから
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「農業全体を盛り上げる」 新社長が描く「カルビーポテト」のこれから

THE CALBEE

「ポテトチップス」や「じゃがりこ」などカルビー商品とは切っても切り離せない原料が「じゃがいも」。1年間にカルビーで使用するじゃがいもの量は、国内生産量の約17%に及びます。それだけの量を1年間、安定的に供給するのは簡単ではありません。

そんなじゃがいもの品種改良から栽培・収穫のサポート、貯蔵、出荷までを担っているカルビーのグループ会社があります。北海道帯広市のカルビーポテト株式会社。同社は、生産者と直接栽培契約を結び、二人三脚でじゃがいもづくりに取り組んでいます。そして、その規模を北海道から全国に広げ、収穫時期の地域差を生かした上、貯蔵技術を駆使してじゃがいもが通年で途切れない体制を作りました。現在、全国で約1900名の契約生産者の皆様がじゃがいもを栽培しています。

カルビーポテトが目指すのは、単にじゃがいもを扱う会社ではありません。「生産者の方のためになる会社、日本の農業のためになる会社を目指します。」そう話すのは、カルビーポテト代表取締役社長の田崎一也さんです。

田崎さんは2021年4月から社長に就任。カルビーポテトの未来として、じゃがいも以外の作物の調達なども視野に入れています。それが生産者のためになると考えるからです。

カルビーポテトが目指す姿とはどんなものでしょうか。これまでの活動も紹介しつつ、田崎さんにこの会社のビジョンを聞きました。

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田崎 一也(たさき かずや)
カルビーポテト株式会社 代表取締役社長
1991年 カルビー株式会社入社。以来、営業畑を歩み、東京、中四国、九州の各支店長や営業本部長、常務執行役員を歴任。2021年4月よりカルビーポテトの社長に就任。

1年間じゃがいもを安定供給するシステムとは

いまではどんな季節でも、当たり前のように「ポテトチップス」が店頭に並び、その原料となるじゃがいもが販売されています。ですが、多くの人が想像する以上に、じゃがいもの生産は難しく、また収穫時期も限定されるため、通年で供給するにはハードルの高い作物といえます。

「北海道のじゃがいもは、おおむね9〜10月に収穫し、貯蔵庫で管理して翌年5月中旬頃まで使います。ただ、その5月中旬以降から次の収穫期までは北海道のじゃがいもでは足りず、昔はその時期には『ポテトチップス』を販売できないこともありました。それを通年販売できるようにと、創業者である松尾孝さんをはじめ、みなさんが全国各地の生産者の方にお願いしていきました」

1975年に発売した「ポテトチップス」がヒットする中で、どの季節でもこの商品を届けたいと、じゃがいもの安定供給を模索し始めました。そうして、カルビーの原料部門を分離独立させる形で誕生したのがカルビーポテトです。1980年10月のことでした。

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カルビーポテトは、原料からお客様の手にお届ける10プロセスの中で出発点を担う

どのように安定供給を実現しているのか、簡単に説明します。じゃがいもは、地域によって収穫時期が異なります。南の地域ほど早く、梅雨前線や桜前線のように“じゃがいも収穫前線”が北上していきます。カルビーが使うじゃがいもの約70%は北海道産。そこで、貯蔵技術をいかして、北海道じゃがいもを長期的に貯蔵した上、九州、関東、東北と、収穫時期の早い地域から全国のじゃがいもを調達することで、1年間の供給を可能に。今では国内で年間約34万※トンほどのじゃがいもを調達しています。
※2020年産

じゃがいも収穫前線

じゃがいも収穫前線

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収穫風景

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じゃがいも

収穫時期だけでなく、栽培の面でもじゃがいもは想像以上に難しい作物です。たとえば、長雨に見舞われると地中のじゃがいもはたちまち悪くなってしまいます。雨で水分を含んだ畑は柔らかく不安定で、機械を入れて収穫することも自由にできません。最近は収穫前の豪雨が多く「今年も茨城や千葉では、長雨の影響が深刻でした」といいます。

「一方で、降水量が減るのも当然リスクです。関東とは逆に、北海道ではこの夏に雨が降らず、深刻な干ばつに悩まされました。こういった気候の問題のほか、畑で発生する病気も多い。たくさんの苦労の末に、じゃがいもが生産・供給されています」

ハンガーナシバージョン

畑に通い、生産者と一緒に栽培する「フィールドマン」の存在

田崎さんは1991年にカルビーに入社してから、営業一筋の会社人生を歩んできました。そして今年4月に現職となり、北海道に転居。日々生産者の方と話す中で「じゃがいもの栽培が難しく、課題も山積していることを痛感しました」と話します。

「もしかすると多くの方が、じゃがいもが1年中あることを“当たり前”だと思っているかもしれませんが、その裏にある多くの方の努力を、もっと多くの方に知っていただきたいと思いましたね」

栽培が難しいからこそ、カルビーポテトは生産者の方と契約し、一緒に栽培する形を取ってきました。「フィールドマン」と呼ばれる、じゃがいものプロフェッショナルが契約生産者のサポート役として、畑に通い、生育状況の確認や品質管理を実施。栽培の計画も立てていきます。

フィールドマンと農家

(左から)契約生産者とフィールドマン

生産者の方と伴走しながら一緒に栽培するのは、カルビーポテトの大きな特徴です。私たちの目的は、商品のためのじゃがいもを確保するだけではありません。生産者の方や農業全体の力になることです。たとえば、じゃがいも品種の研究開発も農協などと協力して行っていますが、これも成果が出れば生産者全体にメリットが生まれます。それは世の中のためになると思っています」

田崎さんは「自社のためだけにやろうという意識では、社会に必要とされる会社にはなれません」と、力強くいいます。

北海道で起きた今年の干ばつに対しても、畑に水を引く仕組みを整備し直す提案を考えていますが、これはじゃがいも確保のためだけではありません。畑では「輪作」といって、同じ土地に違う作物を一定周期で作ることで、病害虫による害などを防ぎ、土質をよくする効果があります。契約生産者はじゃがいも以外の作物も作っており、干ばつへの備えは、他の作物にも有効。生産者の目線に立ち、「じゃがいもだけでなく他の作物の栽培もふまえた提案をしなければなりません」と話します。

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じゃがいも以外も扱うことが、生産者のメリットになる

実は、田崎さんが描くカルビーポテトの未来においても、じゃがいも以外の作物がキーワードになります。たとえば、いまは生産者からじゃがいものみを調達していますが、他の作物にも拡大する可能性を想定しています。

「カルビーポテトがさまざまな作物を購入し、それがお客さまに届けば、より多くの生産者の方のモチベーションになるのではないでしょうか。農業は高齢化が深刻です。じゃがいもは労働力がかかり、また栽培も難しい。他の作物の買い取りができれば、生産者の方の選択肢も増えますし、いままでと違った会社の価値を生めると思います」

コロナ禍では、大豆や小豆など、北海道を代表する作物が大量に余った時期がありました。旅行や出張が減り、おみやげ品に使われるあんこの消費量などが激減したからです。田崎さんは、その状況を北海道で目の当たりにしてきました。
だからこそ、自分たちの利益だけを追求するのではなく「生産者の方と共存していくのが企業の正しい形」といいます。他の作物にも拡大するビジョンの背景には、そんな信念があるのです。

「そのほかカルビーポテトでは、オリジナル商品の販売や、じゃがいもをカルビーに卸すのではなく直接スーパーに出すといったこともやっています。ただ、そうした活動を知らない方はきっと多いですよね。今後はこの認知にも力を入れていきます

カルビーポテトでは、「POTATO STICK インカのめざめ」や「北海道フライドポテトシリーズ」など、スナック菓子や冷凍食品を開発・販売してきました。田崎さんは「情報発信やPRに力を入れて、こうした商品の売上を伸ばしたい」と考えています。それも生産者のメリットにつながります。

【立体画像】インカのめざめ正面

【立体画像】potato_cut_3D

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今までと同じことをしていても、じゃがいもの売上を伸ばすのは簡単ではありません。いろいろな売り方ができれば、じゃがいもの需要が増え、契約生産者の方の収益につながります。生産者の方が精魂込めて作った作物ですから、なるべく高い価値をつけるのが私たちの仕事です」

そういった取り組みの中で、生産者の方が「カルビーポテトと付き合うことにも価値を感じていただければ、それが絆になっていくでしょう」と田崎さんは話します。

農業を未来へ残すため気候変動への対策も推進

未来へのビジョンはこれだけではありません。環境と向き合うこともカルビーポテトの役目です。この夏、北海道が干ばつに見舞われたのは先述の通り。35度を超えることも最近は珍しくありません。田崎さんは「このような気候が“今年だけ”で終わるとは思えない」といいます。

「この夏のような気候が数年続けば、農業は大きなダメージを受けます。北海道をはじめ、日本にあるたくさんのおいしいものが危機にさらされるでしょう。農業の一部を担う会社として何もしないわけにはいきません

すでにさまざまな団体と話し合い、気候や環境への対策を考えているとのこと。アイデアとして、契約生産者の畑で使う肥料を環境負荷の低いものに変えたり、じゃがいもを運搬するトラックの二酸化炭素排出量の削減などがあり得るといいます。また、じゃがいも自体も二酸化炭素を排出します。より環境負荷の低い品種の開発なども視野に入っています。

「いま日本にたくさんのおいしいものがあることを“当たり前”だと思ってはいけないと。高齢化や気候変動など、農業は大きな危機に直面しています。素晴らしい食べ物の価値を、次の世代へと残していくのがカルビーポテトの役目だと強く思います。」

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田崎さんが目指すカルビーポテトの姿は、じゃがいもだけを扱う会社ではありません。農業を未来に、“おいしいもの”を未来に届ける会社です。


■「カルビーポテト」の会社概要
社名:カルビーポテト株式会社
本社:北海道帯広市 別府町零号31-4
創業:1980年10月15日
業務内容:じゃがいもおよびその他の農産物の購入、貯蔵、物流、販売
じゃがいも加工およびその他の農産物加工品の商品開発、製造販売
HP:https://www.calbee-potato.co.jp/

■カルビーグループとじゃがいもの今をお伝えするオウンドメディア「じゃがいもDiary」:https://www.calbee.co.jp/diary/


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