身近な商品として研究成果をお客様へお届けしたい!カルビーの研究者
“次の時代を担うのはあなた”の意を込め、新卒採用に合わせて不定期連載している「NEXT is NOW」。現場で活躍しているさまざまな社歴や職種の人財を紹介しています。
今回は、研究開発本部の須藤麻里さんです。「未利用資源の有効活用」をテーマに基礎研究から、商品化までを担当しています。研究だけではなく商品開発までを手掛ける須藤さんに仕事をする上での大変さややりがい、これからの目標について話を聞きました。
基礎研究を学んだ共同研究機関での経験
―今までどのような仕事をされてきたのか、教えてください。
須藤:私は入社以来、研究部に所属しています。“未利用資源の有効活用”が研究テーマで、ポテトチップスなどの商品を作る過程で発生する皮ロス(じゃがいもの皮のロス)を何か新しい形に有効活用し、新規事業にできないかという命題のもと、最初の6~7年は社外の共同研究機関で基礎研究を行っていました。カルビーに出社するのは月に数日で、それ以外は共同研究機関に通う日々でした。
共同研究機関では、リーダーのもと朝から晩まで実験をして、学会や論文発表を目指す日々を過ごしていました。カルビーの人ともあまり関わらなかったので、学生生活に逆戻りしたような感覚でした。しかし、実験を一から学ぶことができたのは、非常に貴重な経験だったと思います。はじめは研究成果を具体的にどのように形にするかイメージができませんでしたが、実験を重ね、周りの研究者と切磋琢磨していくうちに方向性が見えてきました。企業の研究者として新規事業につなげたいと思うようになり、最終商品を具体的に見据えて、応用研究から事業化までのプランニングを進めていきました。
外部で研究をすることで、化粧品業界など異業種の方とつながることができました。いまだに実験の相談にのってもらえる良い関係性を築けています。
―社外との人脈も広がったんですね。なぜ、外部で研究をしていたのですか?
須藤:当時、カルビーには商品の品質を調べるための研究設備は充実していましたが、未知の機能性成分を調べたり、その成分が細胞レベルでどのように作用するのかを調べる研究設備は限られていました。そのため、外部で研究するしかなかったのです。いまは設備も整い、社内でも様々な研究が進められるようになっています。
応用研究から開発まで、生みの大変さを実感
―基礎研究で成果が出て、会社としても環境が整ってきたのですね。その後はどう進めたのですか?
須藤:7年間外部で研究した後は、基礎研究で得られた成果を商品化する応用研究に進みました。私の行っている基礎研究は、じゃがいもの皮から機能性成分を抽出し、ヒトの皮膚細胞を用いて有効性を確認し、結果を学会や論文で情報発信するというものです。それに比べ、応用研究は実用化や商品化に結び付ける研究になり、全く異なります。応用研究を開始し、開発やマーケティングと一緒にプロジェクトを作り、プロジェクトリーダーを担当しました。商品化を進める段階になると、他部署とかかわりが増え、働いている実感がより強くなりました。同時に、人を巻き込むことの大変さも学びました。例えば、機能性成分の抽出法の大規模量産化、原料となる皮ロスの安定供給、商品の品質担保のための新たな社内ルール確立など、初めて経験する課題が山積みでした。ひとりでクリアできる課題はほとんどなく、社内外のいろいろな方々に協力をいただく必要があります。取り組み自体に共感してもらうことが、何よりも重要だと感じました。当初は意見が対立することもありましたが、根気強く話し合いをすることで課題を解決していきました。
研究起点のものは、着手してから商品化するまでに10年~20年かかると言われています。私も着手から11年かかっています。社内では数年で異動することも多い中、同じ研究を続けさせてもらっています。研究を終えたら開発にバトンタッチするものだと思っていたのですが、製造においても研究がかかわる部分が多いため、応用研究や商品開発までまかせてもらえています。企画や販売まで含め、他部署の協力を得ながら総合的に携れているのはありがたいです。
―研究から開発・製造にまで携わっているのはすごいですね。やはり、そこがやりがいでもありますか?
須藤:そうですね。人一倍思い入れのある研究なので、大変さもありますがやりがいを感じています。お菓子とは異なる新規商品ということもあり、厳しい社内ルールをクリアしていくのが大変でした。商品の品質を担保するために、従来の分析方法では時間もコストもとてもかかっていました。コストを抑えるために分析法を改良し、1~2年かけて新しい分析法を確立しました。新しい分析法で3年間分析結果を蓄積し、交渉材料をそろえて何度も提案し、ようやく認めていただけました。商品開発の大変さを実感しましたね。他の人がやった方が早いだろうなと思いながらも、自分でやり切ったことで良い経験になりました。これからも、課題を一つずつクリアしていこうと思います。
―仕事の中で挑戦したこと、また印象的な出来事はありましたか?
須藤:入社後の研究活動自体がずっと挑戦でした。会社としても初の試みなため、挑戦であり成果だと思います。今後は、一商品としてだけでなく、事業として他の商品にも展開していきたいです。それが、これからの自分のチャレンジになると思います。自分としては大きなテーマに感じますが、会社全体としては小さいということを常々実感することがあります。もっと他部署を巻き込む力を身につけて、社内の理解者を増やしていく必要を感じています。
―これからのキャリアはどう考えていますか?
須藤:どんなに良い研究結果でも論文にしただけでは意味がないと思っています。メーカーなので、商品として世に送り出すことが大事だと思っています。お客様にお届けして役に立つことが私のやりがいにつながると思います。商品開発も携わりながら、研究を続けていきたいです。
健康に携わる仕事がしたい、ブレない目標を持ち続けた学生時代
―カルビーを受けた理由はなんですか?
須藤:研究は大好きで自分に合っていると思っています。一生研究をしていくと思った時に、家族や友人にとって身近なものの研究に関わりたく、食品や化粧品、日用品メーカーに就職したいと考えました。当時から、私は健康オタクで健康事業をやっている会社や素材を大切にした商品が多い会社に興味があり、「フルグラ®」など健康食品にも力を入れているカルビーで健康に携わる仕事ができたら楽しいと思い選びました。
就活するうえで、譲れない部分や条件があるのであれば、強く持つと良いと思います。同じ研究室には同じ業界を受ける人がいなくて、他の人の就職が決まっても、焦らないように言い聞かせていました。自分がやりたい業界に就職するために、周りに流されないように軸を持つようにしていました。
―軸を持つことは大切ですね。最後に学生へのメッセージをお願いします。
須藤:研究職はやはり忍耐力が必要です。すぐに大きな成果にはつながらなくても、信念をもってあきらめないことが大切だと感じています。よく就活生から、まったく研究分野が違うのですが大丈夫でしょうか?と相談を受けることがあります。研究分野が直結しなくとも、学生の頃の経験を活かしつつ、学ぶ姿勢をもっていることが大事だと思います。私はもともと金属触媒の研究をしていて、今の仕事に直結する勉強をしていませんでした。
「なんでもやります!」というスタンスで、社会人になってから挑戦し学んでいます。研究とひとことで言っても、全く知らない仕事がたくさんあります。自分が思い描いていたことと環境が異なったとしても、受け入れて柔軟に変えられる人になると良いと思います。素直に学ぶスタンスを持っている方であれば、自分で切り拓くことができると信じています。
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文・写真:町田 有希