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「フルグラ®」の「名脇役」を支える”職人魂”

商品づくりの現場を支えるプロフェッショナルな従業員にスポットを当て、仕事に対する想いや、商品づくりにかける情熱に迫る、「職人魂-THE CALBEE」。第6回はレーズン選別のスペシャリスト、佐藤 早苗さんにお話をお聞きしました。

レーズンを手に持つ佐藤さん

佐藤 早苗(さとう さなえ)
カルビー株式会社 品質保証課 レーズン選別チーム 主任
2001年、カルビー入社。清原工場 スナック製造課に配属。結婚、出産を経て2012年に時短勤務で同課へ復帰。2020年から品質保証課のレーズン選別課に異動、現職。


知る人ぞ知る、レーズン選別ライン

レーズン選別のラインがあることは、実はカルビー内でもあまり知られていません。というのも、国内工場の中でたったの1ラインしかないからです。「フルグラ®」を製造している工場は、栃木県にある清原工場と京都府にある京都工場の2工場。このうち清原工場の品質保証課内にレーズン選別ラインはあります。

レーズン選別ラインの入り口
レーズン選別ラインの入り口

さて、レーズン選別ラインとは、どのようなラインなのでしょう? ズバリ、「フルグラ®」に含まれるレーズンの品質を一定基準に保つラインです。レーズンはアメリカから輸入されますが、そのままだと枝や果梗(かこう)などの異物が混入しています。その異物や不良品を取り除き、安全・安心な品質にするために存在します。工程としては、まずレーズンをソーター機※にかけ、機械の目で不良品を排除します。その後、人の目と手によるピッキング作業を行い、金属探知機に通します。最後に品質チェックをして終了。
※ソーター機とは、カメラとレーザーで異物を感知し、エアーで除去する選別機です。

ピッキング作業の様子
ピッキング作業の様子
品質チェック
品質チェック

ピッキング作業だけを見ると繊細な仕事のイメージですが、佐藤さんいわく「レーズン選別ラインは力仕事」なのだそう。

「段ボール箱を開けてレーズンの袋を取り出し、その袋をひっくり返して数箱分をひとまとめにする作業があるのですけど、これはもう肉体労働ですね。最初は1箱分を持ち上げられませんでした。全身筋肉痛になるし、手首は痛いし、この仕事は続けられないと思いました。でも、3カ月すると慣れるのです。1日のノルマを終わらせると達成感があって、『楽しいな』と思うようになりました。今では箱開けで私の右に出る人はいません(笑)。

ラインの前後にも重たいレーズン袋を持つ作業があり、まさに力仕事ですね。そう聞くと男性が多い職場かと思われますが、私も含めてほとんどの方がお子さんのいるママさんチームです」。

インタビュー中の佐藤さん

どうやればできるか?を考える、前向きなチーム

佐藤さんがレーズン選別ラインに主任として異動したのは4年前の2020年でした。入社以来スナック製造課に所属していた佐藤さんは、最初から戸惑いの連続だったそうです。

「とにかく分からないことだらけで、いつも品質保証課の主任さんに助けてもらっていました。機械トラブルが起きても自分ではどうすることもできず、作業しながら学んでいく日々でした」。

そんな中、メンバーから休みの連絡が押し寄せます。2020年といえば、新型コロナウイルス感染症が拡大した年。ママさんチームということもあり、メンバー10人のうち3人しか出勤できないという事態に陥りました。人がいなくても機械は回さなければなりません。上司と連携して応援を呼び、なんとか稼働できましたが、終業時間には終わらず残業が続きました。

「このときはとても大変だったのですけど、『なんとかしなきゃ』という気持ちがメンバーみんなにあって一致団結しました。今でもそうなんですけど、みんな文句を言わないですし、『どうやればできるか?』と考える前向きな人ばかりです。チームメンバーに恵まれています」。

インタビュー中の佐藤さん

リーダーとしての思い

高校時代に「機械を使ってものづくりをしたい」と思い、佐藤さんはカルビーに入社しました。ものづくりが好きで、黙々と作業したい工場向きの性格だといいます。最初は戸惑いだらけでしたが、今では操作が難しいといわれるソーター機を難なく扱っています。機械トラブルにもいち早く気付き、生産が滞らないように指示を出します。

「機械の調子は見た感じで分かります。特にソーター機は調子が悪いと音が変わるので分かりやすいです。ママさんチームは残業できないので、まずい!と思ったらすぐに機械を止めて改修します」。

責任感が強く、一番の思いは「チームのみんなを残業なしで帰す」こと。育児で制約がある人でも限られた時間で働くことができています。レーズン選別の職人は、働きやすい職場づくりの職人でもありました。今でこそチームをまとめ上げているものの、最初は悩んだことも。

「リーダーに向いていないと課長に相談していました。自分に自信がなかったですし、指示を出すのも苦手です。すぐに『すみません』と言って、下から入ってしまいますし…。そのとき『周りから支えられるリーダーもいるんだよ』という課長の言葉に救われました。リーダーは、バリバリに働いてみんなを引っ張っていく人というイメージが自分の中にはあって、そうじゃなくてもいいんだと思えました」。

インタビュー中の佐藤さん

レーズン選別は力仕事でママさんチーム。言葉だけ聞くととても大変そうな感じがしますが、励まし合い、支え合い、助け合いながら、チームワークで今日もレーズンの品質を保っています。

最後にレーズンに対する思いをお聞きしました。
「私たちは『フルグラ®』用のレーズンを選別しています。いろどりに加えて、凝縮された甘みとほのかな酸味を備えた風味、食物繊維が豊富に含まれているので栄養バランスを整えてくれます。『フルグラ®』の特徴のひとつであるバラエティーに富んだ食感の中でもソフト担当と、レーズンには役割がたくさんあります。決して主役になることはないけれど、無ければ寂しい。安定感のある”名脇役”ではないかと思っています」。

フルグラとレーズンの写真

【カルビー清原工場について】
栃木県宇都宮市の清原工業団地にカルビー清原工場はあります。「フルグラ®」、「かっぱえびせん」などを製造しています。(操業開始:1989年)

清原工場外観
カルビー清原工場


編集後記

文・写真:間瀬 理恵


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