物流担当者の仕事観【社内報より『カルビトの流儀#05』】
カルビーの社内報は1960年に創刊され、現在に至るまで60年以上にわたり発行されています。「かっぱかっぽ」からスタートし、「かるびー」「CALBEE」などと名前を変え、グループ報となった今は社内の連帯感を一層深め、永遠に幸せの輪がつながっていけばという想いを込めた「Loop」という名前です。その中の1つのコーナー「カルビトの流儀」は、仕事上でのほろ苦い経験を通じて得た気づきを基に個人の仕事観を紹介しています。(ちなみにカルビトとは、カルビーグループで働く人のことです)
この「カルビトの流儀」をnoteで公開していきます。
今回は、営業から物流担当にキャリアを切り替え、倉庫作業の自動化などで活躍された男性です。
ー自ら物流部門を志願
2006年6月に広島工場(廿日市市)の竣工式があり、私はその事務局をやっていたのです。昼休みになって当時の地域事業部長とお話する機会がありました。その時に地域事業部長から「何かやりたいことがあるか?」と聞かれ、「物流をやらせてください!」と答えました。物流は工場と営業部門の間で製品を供給していく要の部署なのに発信力が弱いと思っていたのです。営業上がりの自分がやったらどう変えられるだろう?〝物流部門の雰囲気を変えたい〞と思って志願したのですけど、その年の8月に物流部門に異動となったのにはビックリしました(笑)。と同時に、個人の意見を尊重してくれる柔軟な会社だなあとも思いました。
中四国エリアの物流サポートグループリーダーとして配属されました。全く違う畑の部署で管理職です。実務も身につけなければならないうえに、マネジメントもしなければなりません。理論的なところは物流やサプライチェーンと名の付く本を読みあさり、分からないことはキャリアの長いメンバーに相談し、業務に関する知識を深めていきました。大変だったけどやりがいはありましたね。
ーカルビー初、物流倉庫自動化の実現を担う
その後しばらく中四国エリアの物流を担当していましたが、2014年に本社物流、2015年に東日本物流の部長を経て、2017年に再び本社物流に配属となりました。
その年、京都工場(綾部市)に「フルグラ」の製造ラインを新設するという話が立ち上がり、工場倉庫の出荷口の業務設計をやってほしいと依頼がありました。倉庫に無人フォークリフトとシートパレットを使った商品積載を導入するという、カルビーにとっては歴史的刷新でした。というのも、「パレタイザー」という自動でパレットに段ボールを積み上げる機械を90年代後半に導入して以来、倉庫の自動化は進んでいなかったからです。
前例のない取り組みだったので、イメージづくりのために他社の現場を見に行くことにしました。
一般的なパレットの高さが約15センチであることに対して、シートパレットは2〜3ミリほどと薄いため、最初見たときは本当に運べるのか不安になりました。
しかし、シートパレットは薄い分、運搬時の積載量を増やすことができます。また、京都工場で製造される「フルグラ」は輸出向けのため、プラスチックパレットだと海外に運んで回収する手立てがないので、何としてもシートパレットで運ぶ仕組みをつくらなければいけません。
とにかくやってみようと、実際に京都工場の出荷口で海上コンテナに積込みできるか、テストを行いました。すると、思いがけずスムーズにできてしまったのです。効率的に段ボールを積み上げる方法など試行錯誤することはありましたが、どうにか運ぶことができそうなので、時間、人数、積載量などの業務設計ができました。
中国へ輸出するための1コンテナは「フルグラ」約3000ケース分。これを人の手で積み込むと2〜3時間ぐらいかかるのですけど、シートパレットを活用して積み込んだところ30分ほどでできるようになりました。
もう1つ課題だったことは、無人フォークリフトの導入によって、夜中は倉庫が無人になります。トラブルが起きたときに誰が駆けつけるのか…? 対応やオペレーションルールを工場、協力会社、技術部などと一緒に考えました。皆が初めての経験なので、ああでもないこうでもないと。
さまざまな不安要素があり、この重責に夜は眠れず夢に出てくることもありましたけど、目覚めた時には不思議と「やるしかない」という気分になり割り切ることができました。とにかく、知らないことがあれば現場に行って現物を見る、自分たちで検証してみる、分からなければ社内外問わず聞きに行く、これが大事ですね。さらに、皆で知恵を出し合ってチームワークで乗り切りました。
2019年7月に京都工場の海外輸出向け「フルグラ」出荷口の無人フォークリフトが無事に稼働を始めました。それから今まで特に大きなトラブルは起きていません。現場からは「省人化が図れて、夜勤がなくなって良かった」という声をいただいています。ただ、システムエラーへの対応が増えたという新たな課題も出ています。
改善の余地はまだまだあるものの、カルビーの物流部門としては一歩前進したと自負しています。そして、以前よりも工場や営業部門との協働がスムーズになっていると実感しています。
ー今後の展望
京都工場が成功したので、R&D(栃木県宇都宮市)の「堅あげポテト」ラインや湖南工場(滋賀県湖南市)の「じゃがりこ」ラインにも自動フォークリフトを展開しました。更に新宇都宮工場(栃木県宇都宮市)では2022年1月に倉庫全体が自動化されました。製造された商品がパレタイザーで積み上げられ、パレットに乗ったまま倉庫まで運ばれます。崩れないようにラップ巻きされ、保管され、出荷するまでの作業が完全自動化されています。こちらも省人化の実現や体力勝負だった倉庫作業の省力化や安全性に貢献できていると思います。
今は2024年に生産開始予定の広島新工場(広島市)の倉庫設計に携わっています。数年後に「あいつが変な設計をした」と言われたらまずいぞと、日々プレッシャーを感じながら楽しく仕事をしています(笑)。
これからも、カルビーグループの物流業務に関わっている皆さんの働き方改革や、ドライバーの皆さんから「カルビーの商品を運びたい」と言ってもらえるような仕組みや環境づくりに少しでも役に立ちたいと思っています。
カルビーグループの社内報から飛び出した「カルビトの流儀」はいかがでしたか? 次回も楽しみにしていてくださいね!
カルビーの物流についてはこちらをぜひご覧ください。
文:間瀬 理恵
写真:町田 有希